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旧型「ディフェンダー」が4000万円!? 30台限定! ウイスキーの聖地「アイラ島」エディションのランドローバーとは

ランドローバー・クラシックから発売された「クラシック ディフェンダー ワークスV8 アイラ エディション」

メーカー自ら完璧にレストアしたクラシック ディフェンダー

ランドローバーのヘリテージ部門「ランドローバー・クラシック」から2023年5月、「CLASSIC DEFENDER WORKS V8 ISLAY EDITION」(クラシック ディフェンダー ワークスV8 アイラ エディション)が発売されました。先代「ディフェンダー」をレストアして最新のパワートレインを搭載した世界30台限定の特別仕様車で、スコットランドのアイラ島をテーマにしています。

英国の誇るスコッチウイスキーの聖地がアイラ島

スコットランド南西部に浮かぶアイラ島は古くからウイスキーの名産地として知られている土地だ。淡路島と同じくらいの大きさの島の中に現在9つの蒸留所が存在していて、そのうちラフロイグやボウモア、アードベックといった銘柄は、少しお酒が好きな人なら耳にしたことがあるだろう。

アイラ島は島の1/4が、植物が長い年月をかけて炭化したピート(泥炭)からなり、しかも海藻が多く含まれているのが特徴。ウイスキーの製造工程で、大麦を乾燥させるときにこのピートを乾燥させたものを燃焼させ、特徴的な風味がプラスされるわけだ。アイラ島のウイスキーはスモーキーかつピーティー、言い方を変えるとヨードやクレゾールのような、独特のクセの強い香りが強烈な個性を放つのだが、海に育まれたピートならではの複雑なニュアンスを楽しむことができ、世界中に多くの熱狂的なファンを持っている。

「LAND ROVER」の名が誕生した島でもある

さて、話は1947年にさかのぼる。当時ローバー・カー・カンパニーの経営者だったスペンサー・ウィルクス(後にランドローバー創設のひとりに)はアイラ島に休暇用の邸宅を持っていて、そこを拠点に新型車の初期プロトタイプのテストを行っていた。悪路を走行するために大幅な変更を施した「ROVER」(動き回るもの、の意味)を走らせているとき、それを見た邸宅の管理人イアン・ダンカンが「これは新しい“LAND LOVER(大地の中を動き回るもの)”だ!」と叫んだことがきっかけとなり、「LAND ROVER」の名前が誕生。そして翌1948年に「ランドローバー シリーズ1」が発売されたのだった。

今回ランドローバー・クラシックから発売されたクラシック ディフェンダーの「アイラ エディション」は、まさしくこの故事にちなんだヘリテージモデルとなる。

スペンサー・ウィルクスの愛車のランドローバーをオマージュ

アイラ エディションは2012年から2016年製ディフェンダーのベース車両を利用して、徹底的なレストア、リエンジニアリング、アップグレードを行い、細部に至るまで丁寧に手作業で組み立てられるとのこと。そこに最新の自然吸気5.0L V8エンジンとZF製8速ATを組み合わせて、最高出力405ps/最大トルク515Nmのハイパフォーマンスを発揮。もちろんそれに併せて、サスペンションやブレーキも強化される。

そして全体のコーディネートは、スペンサー・ウィルクスが所有していた1965年製「シリーズIIA」にインスピレーションを得たものだ。ヘリテージグレーのボディカラーとライムストーンのコントラストルーフを組み合わせ、ヘビーデューティ・スチールホイールを履く。さりげなくボディサイドに入れられた、「GXC 639C」の文字は、スペンサー・ウィルクスの愛車のナンバープレートに由来しているというマニアックさも見逃せない。

毛織物とウイスキー樽が織りなす上質な空間

インテリアはアイラ島の風土と文化を表現するべく素材から厳選。アイラ毛織物工場から調達した手触りのよいツイードをシートのショルダー部分やドアなど各所に配置してあり、ツイードのパターンはアイラ島の風景を思わせるアースカラーを基調に、空と海を表す青、地元の植物であるヘザーの紫、草地を表す淡い黄色などを採り入れたものだ。

さらに特別にデザインされたセンターキューブには、アイラ島のキルホーマン蒸留所のウイスキー樽のオーク材とウォールナットを組み合わせた、取り外し可能なウッドトレイを装備。各カップホルダーのベースもウイスキー樽のオーク材で作られている。

そしてじつは、2005年にキルホーマン蒸留所を設立したのは、スペンサー・ウィルクスの孫娘にあたるキャシー・ウィルズとその夫。このディフェンダーの至るところに、アイラ島とランドローバーをめぐる物語が凝縮されているわけだ。

このアイラ エディションにちなんでキルホーマン蒸留所では「639」と名づけた限定ウイスキーが製造され、このモデルを購入した人に贈呈されるそうで、クルマとウイスキーを含めてコレクターズアイテムとしての価値を高めることになるだろう。

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クラシック ディフェンダー ワークスV8 アイラ エディションは、ショートホイールベースの「90」が17台、「110」が13台の世界30台限定で販売される。価格は「90」が23万ポンド(邦貨換算約4000万円)、「110」が24万5000ポンド(邦貨換算約4200万円)。付属する限定ウイスキーをヴィンテージアイテムとしてキープしていくのか、思い切って開封して飲んでしまうのか、それもまたオーナー次第だ。

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