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28歳、愛車は「路線バス」! あふれる情熱で「商用車ミーティング関東」を仲間とともに開催しちゃいました

八良さんが所有する1996年式富士重工8E

商用車ファンたちの集会「商用車ミーティング関東」が首都圏初開催

ひと口に「クルマ趣味」といっても、最新モデルから戦前のビンテージカー、レーシングカーから軍用車まで、その対象は幅広い。モータリゼーションが早くから発展した欧米などでは、旧い農耕用トラクターやパワーショベルといった建設機械などを「趣味」として楽しむクラブも存在する。昨今では日本でも、乗用車に限らずさまざまなジャンルのクルマのイベントが開催されるようになっているが、さる2023年5月14日(日)に千葉県は長生郡長柄町の都市農村交流センター前駐車場で開催された「商用車ミーティング関東」は、そんなわが国における自動車趣味文化の成熟ぶりを感じさせるユニークなイベントだ。

バスを自家用車として楽しむサークル「千城バス」

この「商用車ミーティング関東」の主催者は「千城バス」。多くの方は「千城バス」と聞いても、そんなバス事業者は聞いたことがないと思うだろう。それもそのはず、じつはこの「千城バス」というのはバスを自家用車登録し、趣味の対象として楽しむサークルなのである。要はスカイラインやポルシェなどのオーナーズ・クラブと同じ、バス・オーナーとその愛好家の集まりで、メンバーは10名ほどだそうだ。

そんなバス愛好家サークル「千城バス」の代表で、このイベントの主催者でもある“八良(はちよし)”さん。イベント会場の一角には彼の愛車である「自家用バス」も展示されていた。このバスは日産ディーゼルKC-RM211ESNのシャシーに富士重工業製ボディ(業界表記ではボデー)を搭載したR18型E。年式は1996年式で、一般的には「富士重工の8E」で通じるそうな。

10歳の頃から憧れていた「富士重工8E」を社会人になって購入

八良さんは弱冠28歳。そもそもクルマに興味を持つ若者自体が少ないと言われる現代、なぜ路線バスを愛車に選んだのだろうか。

「物心ついた時から、祖母と一緒にお出かけする際に利用していた路線バスに興味を持っていました。親の仕事の関係で関東や東北エリアで幾度か引っ越ししたのですが、どの町に行っても当時の新鋭路線バスであった富士重工業の通称7E、8Eと呼ばれる見慣れたバスが走っていて、親しみを覚えていました。いつの日か路線バスを愛車にしようと心に決めたのは小学4年生、10歳の頃です」

そんな彼が本格的に富士重工8Eを探し始めたのは、社会人になった2018年から。中古バスの販売店などで熱心に情報収集を始めると、やがて彼の熱意にほだされた多くのバス関係者の協力も得て、ついに現在の愛車を手に入れることが出来たのが今から3年ほど前のことだった。

全国どこでも走っていける「個人所有の自家用車」

八良さんの現在の愛車である富士重工の8Eは、購入時はフロントアクスル・キングピンの交換が必要な「故障車」であったが、この年代のモデルがどんどん減ってきている状況ということもあり、わずかな出会いのチャンスを逃すまいと購入に踏み切ったそう。

そして懸案の故障箇所の修理をはじめ、排気量6925cc、水冷4ストローク・直列6気筒OHVディーゼルのFE6EエンジンにはNox・PM減少装置を装着し国内全地域への排ガス規制適合化、高速道路走行適合化などの改善を加え、今では純粋な「個人所有の自家用車」として楽しんでいる。青いストライプの入った白いボディ、「千城バス」のロゴやフロントの「社章」も八良さんのオリジナル・デザインだ。

元・公共交通機関だけにコンプライアンスを徹底して楽しむ

少年時代から路線バスを愛車にしようと決めていた八良さん。社会人になってからは夢の実現に向けて大型二種免許を取得し、さらに運行管理者の国家資格も取得しているというから、そのバス愛はホンモノだ。ひと口に「個人が趣味の自家用車として古いバスを買う」といっても、中古の乗用車を買うことに比べると、そのハードルは高い。

「古い中古バスの価格自体は乗用車と大きく変わりませんが、昨今ではむしろコンプライアンス的なハードルが高いです」と語る八良さん。

「もともと公共交通機関であった路線バスを個人の愛車として楽しむからには、バスに関わる仕事に携わっている本職の方に迷惑をかけてはいけないと考えています」

という見上げた心がけで「バス趣味」を楽しんでいる八良さんのバス趣味人生に、幸多かれ。

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