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「アーマーゲー」それとも「アーエムゲー」? 創業137年目のメルセデス・ベンツの歴史を振り返ります

ベンツ本社の社屋

メルセデス・ベンツグループ株式会社(ドイツ本社)

メルセデス・ベンツとはどのような会社?

メルセデス・ベンツは2023年、自動車の発明メーカーとして1886年創業以来137年となり、さらなる発展を遂げている。AMWでは「メルセデス・ベンツの年輪」と題し、「メルセデス・ベンツの歴史」、「メルセデス・ベンツグループ社の概要」、「メルセデス・ベンツのレーシングカー」、「メルセデス・ベンツのプロダクションモデル」、「メルセデス・ベンツの車造りと安全性」に分けて紹介する。今回は「メルセデス・ベンツグループ社の概要」について解説しよう。

ダイムラー社、ベンツ社から現メルセデス・ベンツグループ社の設立

1914年に勃発した第一次世界大戦がヨーロッパ全土を戦禍に包み、敗戦国となったドイツの経済は破綻。このような状態のなか、ドイツ銀行を通じてダイムラー社とベンツ社は1926年に合併し、会社名をダイムラー・ベンツ株式会社、商品名をメルセデス・ベンツと統一した。ドイツ国内では、以前では「Daimler-Benz AG」、現在では「Mercedes-Benz Group AG」と略されることが多い。このAGはドイツ語読みでは「アーゲー」で、正式には「Aktiengesellschaft(アクチエン・ゲゼルシャフト)」=株式会社の意味である。

おもな歴史を振り返ると下記となる。

1883年 ベンツ社 設立
創設者はカール・ベンツ(1844〜1929年)
1890年 ダイムラー社 設立
創設者はゴットリーブ・ダイムラー(1934~1900年)
1926年 ダイムラー・ベンツ株式会社 設立
ダイムラー社とベンツ社が合併
1989年 ダイムラー・ベンツ株式会社 組織改編
ダイムラー・ベンツ株式会社を持ち株会社として、その下にメルセデス・ベンツ社(メーカー)を含む関連企業を置く組織に改めた。
ダイムラー・ベンツ株式会社(持ち株会社)の関連組織下にメルセデス・ベンツ(株)/AEG(株)/Dasa/debis
1996年 ダイムラー・ベンツ株式会社 組織改編
メルセデス・ベンツ株式会社とダイムラー・ベンツ株式会社が統合し、ダイムラー・ベンツ株式会社となる
1998年 ダイムラー・クライスラー株式会社 設立
ダイムラー・ベンツ株式会社(独)とクライスラー株式会社(米)が合併
2007年 ダイムラー株式会社 設立
2021年 メルセデス・ベンツ株式会社 設立
ダイムラー・トラック株式会社 設立
組織改編により、商用車部門をダイムラー・トラック株式会社として分離・独立。ダイムラー株式会社はメルセデス・ベンツ株式会社へと社名変更した
2022年 メルセデス・ベンツグループ株式会社に社名変更

現在のメルセデス・ベンツグループ株式会社概要

メルセデス・ベンツグループ株式会社は世界で最も成功した自動車会社のひとつ。メルセデス・ベンツ社(乗用車・バン部門)とメルセデス・ベンツモビリティ社(ファイナンスおよびモビリティ部門)から成り立つ世界有数のサプライヤーである。

つまり、メルセデス・ベンツ社は高級乗用車ブランドであるメルセデス・ベンツ、メルセデスAMG、メルセデス・マイバッハ、メルセデスEQ、さらに商用バンの事業に集中。メルセデス・ベンツモビリティ社は融資、リース、自動車のサブスクリプションとレンタカー、フリート管理、請求と支払いのデジタルサービス、保険の仲介、革新的なモビリティサービスを提供している。

会社の創設者であるゴットリーブ・ダイムラーとカール・ベンツは、1886年に自動車を発明し歴史を造った。自動車工学のパイオニアとして、メルセデス・ベンツグループ株式会社は安全で持続可能な方法でモビリティの未来を形作る動機と義務の両方を考えている。そのため、同社の焦点は革新的で環境に配慮した技術と人々を魅了する安全で優れたクルマであり続ける。

メルセデス・ベンツグループ株式会社は、効率的なパワートレインの開発に投資し続け、完全な電気自動車の未来に向けたストーリーを設定。つまり、スリーポインテッドスターの付いたブランドは、市場の状況が許す限り、完全な電気自動車を実現するという目標を追求している。

世界有数の高級車会社は、電気ファーストから電気のみに移行し、完全な電気とソフトウェア主導の未来に向かって加速している。同社の取り組みは、車両のインテリジェントな接続、自動運転、新しいモビリティコンセプトにも重点を置いており、メルセデス・ベンツグループ株式会社はそれを、社会と環境に対する責任を果たすという願望と義務と見なしているのだ。

メルセデス・ベンツグループの2022年の実績は?

2022年度のメルセデス・ベンツグループ株式会社は、ハイエンドの乗用車とプレミアムバンに重点を置いたことと厳格なコスト管理が相まって、売上高は1500億ユーロとなり、対前年は12%増(2021年:1339億ユーロ)である。EBIT(利払前・税引前利益)は対前年28%増の205億ユーロ(2021年:160億ユーロ)になった。また、メルセデス・ベンツグループ社の世界販売台数は245万6063台となった(メルセデス・ベンツカーズ&バン合計)。

部門別結果は下記の通りである。

【メルセデス・ベンツカーズ】
困難なマクロ経済環境において、メルセデス・ベンツカーズは204万719台(+5%)を販売した。EVに注力する戦略に沿って、メルセデス・ベンツはスマートを含む14万9227台のBEV販売が好調だった。

トップセグメントの販売は、「Sクラス」(+6%)とそのEVである「EQS」に牽引されて8%増加し、2万3400台以上が販売された。さらに、メルセデス・マイバッハは売上高が41%増加し、新記録の年を達成している。「Cクラス」、販売台数トップの「GLC」、新型「EQE」の好調な販売により、コアセグメントの売り上げは9%増加。メルセデス・ベンツ車の調整後の売上高利益率(RoS)は、前年同期の13.1%から14.6%に上昇した。

第4四半期には、選択したサプライヤーに支払いを行うという慎重な決定と、資格のあるスタッフに対するいわゆる「インフレボーナス」の影響により、わずかな逆風が吹き、調整後の売上高利益率は13.4%と依然として高くなっている。

【メルセデス・ベンツバン】
メルセデス・ベンツバンでは、部品供給と物流分野で進行中の世界的な課題があるにもかかわらず、商用バンと自家用バンの包括的なポートフォリオのおかげで、通年の販売台数は世界中で41万5334台(+8%)に達した。当年度には1万5000台のeVanが販売され(+15%)、その3分の2が商用eVanであった。メルセデス・ベンツバンの調整後の売上高利益率(RoS)は11.2%に上昇している(2021年:8.3%)。

【メルセデス・ベンツモビリティ】
メルセデス・ベンツモビリティの新規契約は580億ユーロに減少した(2021年:636億ユーロ)。ただし、前年度の数値には、ダイムラーの商用車事業が分社化する前のダイムラー・トラック&バスの新規事業が含まれていた。2022年末の契約高は1324億ユーロに達し、昨年と同じレベルだった(2021年:1337億ユーロ)。

融資およびリースされた電気自動車およびハイブリッド車について、メルセデス・ベンツモビリティは昨年末と比較して契約量を大幅に増加させることができた。全体として、2022年の調整済みEBITは24億ユーロに(2021年:34億ユーロ)減少している。

(Mercedes-Benz Annual Report 2022より抜粋)

AMGの歴史は3人の男から始まった

現在の会社名は「Mercedes-AMG GmbH(メルセデスAMG有限会社)」で、1967年に創業した。社名のAMGは、創立者であるハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(Hans-Werner Aufrecht)と彼の兄、そしてエンジニアであるエルハルト・メルヒャー(Erhard Melcher)のAとM、アウフレヒトの生まれ故郷であるグローサスパッハ(Grossaspach)のGと、それぞれの頭文字に由来してAMGとなった。

1999年、ダイムラー・クライスラー社が51%の株式を保有することとなり、実質的にダイムラー・クライスラーの傘下となった。現在は100%株式をメルセデス・ベンツグループ社が保有している。今ではハイパフォーマンスラグジュアリーの未来を形作るエキサイティングなサブブランドである。

AMGエンブレムの由来とは

輪郭の月桂樹は、メルセデス・ベンツとともにレースの覇者になることを象徴している。左側の清い水とりんごの樹はメルセデスAMG社の所在地であるアファルターバッハの名に由来している。そして、右側のカムとバルブは卓越したエンジン開発技術を象徴(カラー表示時代)。現在のエンブレムロゴは下地の黒に白抜き文字に統一されている。

One man – One engine=1人のマイスターがひとつのエンジンを!

AMGに搭載されるエンジンは「One man – One engine」=「1人のマイスターがひとつのエンジンを」という主義に従い、手作業で丹念に組み上げられている。エンジンの上に輝くマイスターのサインが刻まれたプレートは、まさにクラフトマンシップの証である。

アーマーゲー? アーエムゲー? AMGをどう呼ぶのか

果たしてアー・マー・ゲー? またはエー・エム・ゲーで良いのだろうか? 日本ではよくこのように呼ばれるが、ドイツ語ではアー・エム・ゲー、英語ではエイ・エム・ジーと呼ぶ。このAMGもまた誕生の歴史を知れば、正式な呼び方となる。

ヤナセがメルセデス・ベンツを取り扱い始めて70年

2022年はヤナセがメルセデス・ベンツを取り扱って70周年、つまり半世紀以上もメルセデス・ベンツを取り扱ってきたことになる。1952年6月28日、当時の関係会社ウエスタン自動車が最初に4台(170V・170S・220・300)を発注し、同年9月23日に、まず170Vが横浜港に入港した。この170Vが輸入第1号車で10月6日に納車された。そして1952年の初年度に158台を販売、さらに翌年の1953年には177台を販売した。

2022年は年間2万6527台を販売し、累計販売は107万142台となっている。

* * *

会社の歴史と概要、売上高/利益、世界販売台数すべてに一貫した哲学「最善か無」がある。「メルセデス・ベンツの年輪」、それは1日にして成らずなのだ。「メルセデス・ベンツの代表モデル」に続く。

【2022年度のメルセデス・ベンツグループ株式会社 概要一覧表】
社名:メルセデス・ベンツグループ株式会社(Mercedes-Benz Group AG)
乗用車・バン部門:メルセデス・ベンツ株式会社(Mercedes-Benz AG)
ファイナンス&モビリティ部門:メルセデス・ベンツモビリティ株式会社(Mercedes-Benz Mobility AG)
本社:ドイツ・シュトゥットガルト
資本金:30億7000万ユーロ
会長:オラ・ケレニウス
取締役会:8人のメンバーで構成
監査役会:株主代表10名、従業員代表10名で構成
※監査役会は取締役会を任命し、企業の重量な決定を承認する
売上高:1500億ユーロ(2021年:1339億ユーロ)
グループEBIT:205億ユーロ(2021年:160億ユーロ)
研究開発費85億ユーロ(2021年:91億ユーロ)
メルセデス・ベンツカーズ販売台数:204万719台(前年比+5%)
メルセデス・ベンツバン販売台数:41万5334台(前年比+8%)
メルセデス・ベンツモビリティ:契約高は1324億ユーロ(2021年:1337億ユーロ)
メルセデス・ベンツグループ従業員数:17万人(2021年12月31日現在)

【世界の生産工場とモデル】

【ドイツ国内の生産工場(積出港:ブレーマーハーフェン)】
乗用車組立:
ジンデルフィンゲン=Eクラスセダン/ワゴン、Sクラス、CLS、EQS、メルセデスAMG GT
ブレーメン=Cクラスワゴン/クーペ/カブリオレ、Eクラスクーペ/カブリオレ、GLC、SL、EQC、EQE
ラシュタット=Aクラスセダン/ハッチバック、Bクラス、EQA、GLA、
乗用車部品:ウンタートゥルクハイム(本社)、バートカンシュタット、バートホンブルク、カメンツ、べルリン、ハンブルグ
商用車:ガゲナウ、ヴェルト、マンハイム、デュッセルドルフ、カッセル。

【ヨーロッパの生産工場(積出港:バルセロナ)】
スペイン・ヴィトリア=Vクラス
オーストリア・グラーツ=Gクラス
ハンガリー・ケチケメート=CLAクーペ/シューティングブレーク
フィンランド・バルメット=Aクラスハッチバック

【南アフリカ共和国の生産工場】
イーストロンドン=Cクラスセダン

【アメリカの生産工場(積出港:ブラウンズウィック)】
アラバマ州タスカルーサ=GLE/GLS

【メキシコの生産工場(積出港:ラサロ・カルデナス)】
アグアスカリエンステス=GLB

(Mercedes-Benz Annual Report 2022より抜粋)

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