クルマが熱くなればドライバーも暑くなる
レーシングスーツやヘルメットをフル装備し、エアコンを切ったクルマで全開走行するサーキット。真冬でも汗をかくことなんて珍しくはなく、夏の車内などはまさしく「蒸し風呂」状態だ。そんな状態ではドライビングに集中するどころか、熱中症になってしまう危険性もはらんでいる。もうじき到来する暑い夏に備えて、人間の「熱対策」を考えてみたい。
窓を開けて空気を入れ替えてみる
まずはセオリーとして運転席を除くすべての窓を開け、車内にこもった熱を放出して外気を取り入れること。サーキットによっては運転席の窓も少しなら開けていいケースもあるが、禁止の場合はオレンジボール(車両に不備や異常があると提示される旗)を振られ、せっかくの走行時間をムダにしかねないので最初に確認しておこう。
ちなみにレーシングカーやサーキット専用のクルマでよく見かける、ウインドウネット(セーフティネット)と呼ばれるパーツを装着すれば、運転席の窓を全開した状態で走ることが可能になる。
どうしても体調がすぐれない場合はエアコンON
どうしても耐えられないと判断したら最後の手段は、全開アタックをひと休みしてエアコンのスイッチをオン。言うまでもなくパワーロスでタイムは望めないものの、操作ミスでクラッシュしたり熱中症になるよりはマシだ。ひとつギアを上げて流すくらいのペースであれば、クルマへの負担は高速道路とさほど変わらない。それでも回復しなければ素直にピットへ戻り、ヘルメットを脱いで休憩するのがベストだろう。
レーシングスーツの下に着る衣類のチョイスも大事
少しでも不快さを緩和したいなら、レーシングスーツの下に着る衣類にも気を使おう。一般的な綿のシャツは汗を吸うと肌にピッタリと張り付き、しかも乾きにくいためお世辞にも着心地がいいとは言えない。レース用のインナーウェアを用意できればベストだが、予算が厳しければ一般の速乾性アンダーウェアでも十分だ。
資金に余裕があり、途中で休憩するのが憚られる耐久レースなどに参加するなら本格的なクールスーツがベスト。ホースが付いたインナーウェアのことで、車内にドライアイスや氷を入れたボックスを設置し、そこで冷やした水を循環させて体温を下げる仕組み。近年は草レースでも採用するチームが多くなってきた。価格も以前よりリーズナブルになっているので、気になる人は導入を検討してみるのもアリだろう。