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ベンツもBMWも蹴散らしたアルファ ロメオがあった! 八面六臂の活躍をした「155 V6 TI」は無敵の速さを誇ったセダンでした

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

各地のツーリングカーレースでも八面六臂の活躍をしていた

1995年シーズンにはDTMに加えて、同じツーリングカー・クラス1で戦われるITC(国際ツーリングカー選手権)が始まりました。アルファ ロメオは155 V6 TIの1995年モデルを開発してDTMとITCの両シリーズに参戦しましたが、いくつかの新機軸が盛り込まれたマシンは、結果的には熟成不足となり旧モデルの1994年版を持ち込むなど苦戦を強いられます。

1996年にはDTMとITCが一本化されました。アルファ ロメオは完全な空力マシンに進化させた155 V6 TIの1996年モデルを開発して参戦しています。シーズン中にはエンジンを同じく自然吸気2.5LのV6ながらVバンク角を60度から90度に一新したエンジンを投入。13大会26戦中、ライバルのメルセデス・ベンツCクラスを超える10勝をマークしたものの王座には手が届きませんでした。

ワークスのエース、ナニーニが最多の7勝を挙げましたがランキングは3位に留まり、最速のパフォーマンスを見せながら最強のリザルトをマークするなく終了。ITCはこのシーズンで終了し、155 V6 TIのワークス活動も終止符を打ちました。

1996年ITC仕様のアルファ ロメオ155V6 TI

ツーリングカー・クラス2では1993年シーズンに、タルクィーニが155 GTAでISCのシリーズ3位につけていました。1994年にはニューマシンの155 TSを開発しBTCC(イギリスツーリングカー選手権)に参戦。

これに向けてアルファ ロメオではフロントのスポイラーやリアウイングなどのエアロパーツを装着したホモロゲーションモデルの「155シルバーストン」を販売し、戦いを有利に進めることができました。エースのタルクィーニが絶好調で13大会21レース中、開幕5連勝を含む8勝を飾りドライバーチャンピオンに輝くとともに、マニファクチャラーズランキングでもアルファ ロメオ/アルファ・コルセがチャンピオンとなり、見事ダブルタイトルを獲得しています。このように155シリーズは1990年代後半に行われた各地のツーリングカーレースで、八面六臂の活躍をしていたのです。

アルファ ロメオ歴史博物館ではエンジンも展示

そんな155は、アルファ ロメオ歴史博物館の保管庫では75や156と3ショットに収まっていますが、博物館の展示場にはF1マシンやスポーツプロトタイプカーと並ぶようにして、1993年シーズンのDTMを制した155 V6 TIが、搭載していた2.5LのV6エンジンとともに展示されていました。

ゼッケン#8はチャンピオンとなったラリーニ車です。また高知県の香南市にある四国自動車博物館にはゼッケン#7のナニーニ車が展示されていました。保管庫で見かけた155 V6 TIですが、2013年の年末にイタリアの国立自動車博物館で行われたマルティニ&ロッシの150周年企画展でも出会っています。

一方、155のロードモデルには博物館で出会うことがなかなかありません。これまでに一度だけ、SUPER GTのタイラウンドを取材した際に訪れた、バンコク市街からクルマで1時間ほど西にあるジェッサダー技術博物館で出会っただけ。地味な4ドアセダンだけに、なかなか自動車博物館の展示車両としては華がないのは分かりますが、タイでこうして出会えたのは本当にラッキーだったかもしれません。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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