ドアは4枚でも中身はピュアスポーツのような性能が自慢
セダンなのにスポーティで速いというのは、クルマ好きの心をくすぐるもの。「羊の皮を被った狼」とは言い古されたフレーズとはいえ、グッと来るものがある。また、ハコ趣味という言葉もあって、この場合のハコとはセダンのことを指す。今回はスポーツカーも顔負けのスポーツセダンたちに注目してみよう。
ドリフト好きに愛されるJZX100系ツアラーV
今でもドリ車として人気の高いのが、トヨタ「マークII」、「チェイサー」、「クレスタ」に設定されていた「ツアラーV」だ。人気のヒミツは、280ps/38.5kgmを発揮した2.5Lの直6ターボ1JZ-GTEと、マークIIとチェイサーに設定されていた5速MT。本来はただのミディアムサルーンなのに、中身はスポーツカー並みなのだから人気が出て当たり前だろう。現在でも探している人が多い割には中古のタマが少なく、程度のいいものとなるとさらに貴重だ。
スタイリングも人気だったトヨタ アリスト
スペシャリティセダンとして誕生したのが「アリスト」で、初代はジウジアーロが率いるイタルデザインがベースを作ったことで話題になった。初代と2代目それぞれかなりスポーティで、前者はツインターボ2JZ-GTEのほか、4WDのみだったが「セルシオ」譲りの4LのV8もラインナップされていた。2代目ではV8はなくなったものの、2JZ-GTEは健在だった。その後、「レクサスGS」へと繋がって上品になっていくが、アリストはやんちゃなキャラクターが魅力だった。
NAの気持ちいい加速が味わえたホンダ アコードユーロR
ホンダのホットなセダンと言えば、初代「インテグラタイプR」が思い浮かぶが、6代目「アコード」にもタイプR的なスポーティグレードがあった。それが「ユーロR」だ。220psを発生する2.2L直4は当然のことながらVTECを装備し、5速MTと組み合わされた。兄弟車の「トルネオ」にもユーロRがあり、その登場までは「シビック」のスポーツグレードと同じSiRがあった。
ちょいワルオヤジに人気だった日産セドリック/グロリア グランツーリスモ
1990年代までの日産はやんちゃなクルマ作りが得意だった。スポーツセダンというかサルーンとして人気を博したのが、「セドリック」と「グロリア」の両方に設定された「グランツーリスモ」だ。とくに1991年に登場したY32型は3L V6ターボの豪快さはもちろん、強面な丸目4灯もキャラ強めで、羊の皮から狼が出てしまっていた。
直6ターボ+FRでスポーツカー顔負けの日産ローレルメダリストS
セドグロの弟分である「ローレル」のスポーツグレードと言えば「クラブS」だ。1989年に登場したC33型に設定されていて、直6ターボのRB20DETがもたらす走りはまさにスポーツサルーン(正確にはピラーレスハードトップ)の風格十分。コーナリング性能を高めるハイキャスまで装備していた。
日産を代表する伝統セダン・ブルーバードSSS
さらに日産セダンシリーズの3男にもスポーツセダンはあった。「ブルーバード」伝統のスポーツグレードは「SSS」を名乗るが、これはスーパー・スポーツ・セダンの略。SSSというと510型が一番おなじみだが、1996年に登場した10代目まで設定され続けた。ただ、最後のほうはスポーティな味付け程度で骨抜き感は否めなかったが、8代目ではラリー専用のSSS-Rが登場し、実戦でも活躍した。
2ドア並の刺激的な走りを楽しめた日産スカイラインセダン
「GT-R」のルーツは4ドアセダンにあるものの、第2世代では2ドアクーペとなった(R33には4ドアの限定車あり)。GT-Rに注目が集まることが多かったが、ベースの「スカイライン」にはR32からR34までスポーツセダンが設定されていた。スカイラインのセダンだけに、一部グレードなどを除いて直6だったし、ターボを組み合わせることで2ドアスポーツカー並の実力を誇っていた。駆動方式はFRとなるため、GT-Rにはない走りを味わうことができたのもスカイラインセダンの持ち味だった。