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懐かしの「ダットサン・トラック」を20年以上かけてオリジナルの姿に! 初代「ブルーバード」ではなく「ダットラ」を選んだ理由とは

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: AMW 竹内耕太

子どもの頃の八百屋さんの記憶からダットラを購入

「当時のカタログには“ダットサン1200 1トン積みトラック”って書いてあるから、それが正式な車名なんだね。まぁ、要はダットラの320なんだけど(笑)」

と話すのはこのクルマのオーナー、Tさんだ。

「一時期はサニーやブルーバードにも乗ってましたね。昔からダットサンという言葉の響きが好きだったんで」

そんなTさんが初代ブルーバード(310)に乗りたいと思い立ち、後期型の312型を探していたときのこと。

「オークションで312ブルの売り物を見つけたんだけれど、その後ろにはダットラの320もあったんですよね。子どもの頃、なじみの八百屋さんがこの型のダットラの荷台に野菜を積んで売りにきていた思い出がよみがえり、結局セダンじゃなくこちらのトラックを手に入れたんです」

以来、Tさんとこの1965年式ダットラとは、かれこれ20年以上の付き合いだ。

オリジナルの姿に戻しつつ現代も快適に走れるよう改修

「このダットラを手に入れた時点では、荷台の鳥居や荷物フックが切り取られていたりしたので、そのあたりをオリジナルに戻すところから始めました」

アメリカあたりで流行りの「トラッキン」なカスタムが施されていたダットラは、Tさんの元で少しずつ当時の姿に戻されていった。

「もちろんバルブシートを変えれば無鉛ガソリンがそのまま使えるんですが、それはせずにドイツ製の添加剤を使ってます」

と、オリジナルへのこだわりを見せる一方で、オーバーヒート対策としてラジエターに電動ファンを増設するなど、現代の路上を走るうえで必要と思われる近代化改修も行われている。

「高速道路でも問題なく80km/h巡航が可能です。とはいえトラブルと無縁というわけでもなく、いつぞやは……」

と、次々に語られるエピソード。その全ては、Tさんとダットラ320との得難い歴史の一部なのである。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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