ナルディにクロモドラにマーシャル……自分流に仕上げることに熱中
この際さらにとても個人的な話をお許しいただくと、大学生の分際で117クーペ(それも新車)を乗り回していた筆者は、自分の身分も省みず、117クーペを自分流に仕上げることにも熱中した。迷わず選んだのはナルディ・クラシック(ステアリング)、クロモドラAタイプ(アロイホイール、タイヤはミシュランXVS、ピレリCN36など)、マーシャル(ロービームにポジションランプ内蔵のハロゲンヘッドライト、フォグランプ)、コニ(ダンパー)など。
ほかにミラーも最初はタルボットミラー(ジャガーXJや60年代の欧州車が装着していたもの)のフェンダーミラーに始まり、最後はフェンダーを「穴埋め」してもらい、ドアミラー(初期のE21型BMW3シリーズのもの)に。オーディオもヘッドユニットをアルパインの最初の1DINユニットにし、ドアとリアトレイにクラリオンの16cmスピーカーを自分で取り付けた。ドア下のサイドシル部分は、自分で黒のカッティングシートを貼り付けた。トランクリッドには「J」の国籍表示を兼ねたVANのステッカー。トドメはルーフに穴を開けて取り付けたガラスサンルーフ……。
今ならネットでカートに入れれば何でも手に入るが、1970年代といえば、自動車雑誌の広告などを頼りに、自分が欲しいパーツを扱うショップを探し回っては手に入れたもの。時間と意欲と夢ならいくらでもあった若いころの話だが、そういう時期を友人たちと北は北海道、南は鳥取まで、いろいろな旅をするなどして、筆者はいすゞ117クーペと過ごしたのだった。