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プリンス「スカイライン2000GT-B」が石川県にいまも健在! 元祖「羊の皮を被った狼」で長距離ドライブも楽しんでます

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

新潟・糸魚川の「第18回クラシックカーミーティング」からレポート

クラシックカーのイベントが盛んな新潟エリアでも、メッカと言えるのが糸魚川市の美山公園だ。近年ではここで年に3回のヒストリックカー・イベントが開催されていて、そのひとつが2023年5月3日に開催された「第18回クラシックカーミーティング」。商用車からスポーツカーまで、1950年代から70年代にかけての各国のヒストリックカーがバランス良く集まり、さながら「世界の自動車博物館」のごとく、見る者を楽しませてくれた。バラエティゆたかな車種は国産車と輸入車がほぼ半数ずつという割合だが、その中でもいぶし銀の佇まいでひときわ目をひいていたのが今回の展示車両で唯一のプリンス車、「スカイライン2000GT-B」だった。

日本初の「GT」を名乗ったプリンス自動車最後のスカイライン

航空機メーカーの流れを汲む高度な技術に裏打ちされたメーカーとして知られたプリンス自動車。戦後間もない1947年に生まれ、1966年には日産と合併。独立したメーカーとしての歴史は約20年ほどだが、その間にも日本の自動車史に残るいくつものクルマを輩出している。そのひとつが「スカイライン」であり、同車が今なお日産の看板車種であるのはご存知の通りだ。

技術至上主義のプリンスらしく、同社はモータースポーツの分野でも戦後の黎明期から数々の足跡を残してきたが、中でもよく知られているのが「スカイラインGT」誕生にまつわる物語だろう。

4気筒エンジンを搭載した4ドアセダン「スカイライン1500」のフロント部分を延長し、そこにウェーバー40DCOEキャブを3連装した2L 6気筒エンジンを搭載したスカイライン2000GT。その成り立ちをひと言で言えば「GTを名乗ったニッポンのスポーツセダンの草分けにして、レースに勝つために生み出されたホモロゲーションモデルの元祖」ということになろうか。

地元の前オーナーから引き継いだS54BのII型

「もともとスカイラインが好きで、このGT-Bの他にL型エンジンのハコスカGTも所有しています」

と語るのは、このイベントに石川県から参加の村田宏行さん。このスカイライン2000GT-Bは1966年式のII型というから、まさにプリンスが日産に合併吸収される年に製造された「プリンス・スカイライン」としては最後となるモデルだ。

「スカイライン好きなので、もちろんS20にも憧れてGT-Rを探した時期もあったのですが、今はご縁があって数年前に手に入れたこのS54BのII型に乗っています」

このクルマにたどり着いたら前のオーナーも地元の方だったというから、おっしゃる通りこれもヒストリックカーが取り持つ縁だろう。

「きめの細かい縦基調のグリルやメッキリングのつかないリアのテールライトなど、プリンス時代のS54ならではのディテールもお気に入りのポイントです」

60年代の国産セダンとして破格の走行性能、今なお健在

ひとクラス上の高級セダン「グロリア」の2L 6気筒エンジンの圧縮比を8.8から9.3に引き上げ、モータースポーツの世界でその名を轟かせたイタリア製のウェーバー40DCOEキャブレターを3連装、最高出力は125ps/5600rpm、最高速度180km/hというスペックは、1965年にデビューした国産4ドアセダンとしては破格の高性能。その健脚は今なお衰えを知らないようだ。

「地元のイベント以外にも関東、東海エリアあたりのイベントには自走で参加します」

メッキのホイールキャップなども含め、「羊の皮を着た狼とでも言えましょう」という当時のカタログに書かれたキャッチがふさわしい、まさにシックでノーブルな佇まいが印象的な村田さんのスカイライン2000GT-Bであった。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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