ファーストエディションは100台限定
往年のブガッティやフェラーリのレプリカを、走行可能なミニチュア・サイズで精巧に製作することで知られるイギリスのザ・リトル・カー・カンパニー。彼らの製作したモデルは、フィニッシュの素晴らしさからつねに市場で高い評価を得ており、クラッシックカーファンの注目を集めるところとなっている。そのザ・リトル・カー・カンパニーが、まさに逆転の発想から誕生したともいうべきニューモデルを開発し、ファースト・エディションを発表した。
ローンチ後はさまざまな仕様のモデルが用意されている
今回同社がベースとしたのは、日本のタミヤが1985年に発売した1/10サイズのオフロード・ラジコン・カー「ワイルド・ワン」の2人乗りロードバージョンだ。これまでのスケールダウンではなく、2人乗りを可能とする広々としたコクピットを持つ本格的なバギーへとサイズアップしたのが、正式には「ワイルド・ワンMAX」と呼ばれるこのモデルだ。
ちなみにファーストモデルとなる100台限定のローンチ・エディションの受注はすでにスタートしており、実際の生産は2024年初頭に始まる予定。さらにローンチ・エディションの後には、同様のスペックを持つモデルのほかに、さまざまな仕様のモデルが用意されているというから、本家タミヤのワイルド・ワンがそうであったように、チューニング・パーツも多数用意されることになるのだろう。
バッテリーを除いた状態での車重は450kg以下
まず販売がスタートするローンチ・エディションは、4点式ハーネスのシートベルトを備えたコブラバケット・シートやIP規格の5インチ・デジタル・スクリーン、マリン仕様のスイッチ、ブレンボ製のディスクブレーキに、ビルシュタイン製ダンパーやアイバッハ製スプリングなどを装備したハイスペックなモデルだ。前後のタイヤはマキシス製の14インチ径オフロード用となっている。前後のサスペンションにダブルウイッシュボーンを採用してきたのも、シャシーデザインの大きな特徴だ。
パワーユニットはエレクトリック・モーターとなり、バッテリーパックは8個に分割。取り外し可能で、合計の容量は14.4kWhとなる。車重は乾燥重量で500kgと発表されているが、リトル・カー・カンパニーによれば、バッテリーを除いた状態での車重は450kg以下となるため、ワイルド・ワンMAXは、イギリスおよびEUの「L7e」小型自動車規定によるホモロゲーションを得ることができる。
参考までに最高速は96.5km/h。全長は3600mm、全幅では1900mmとコンパクトなボディサイズも貢献して、アプローチアングルは34.1度、ブレークオーバーアングルは28.4度、そしてデバーチャーアングルは50.8度と、本格的なオフローダーとしての機動性が備わっていることが、数字からもわかる。
これから実際の運動性能や耐久性のテストを実施し、その後に詳細な性能や航続距離、そして価格などが発表されるワイルド・ワンMAX。かつてタミヤのワイルド・ワンの走り、そしてチューニングに熱中した大人には、なんとも気になる1台が誕生した。ちなみにその価格は、これまでのレプリカモデルを考えると、かなり高額なものになることは容易に想像できるところだ。