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ロータス「ヨーロッパ」や「エラン」を乗り継ぎ、行き着いたのは? 元祖総アルミボディの「スーパーセブン」と暮らして8年

1959年式ロータス・セブン シリーズ1とオーナーの横山栄一さん

1959年式ロータス・セブン シリーズ1

2023年5月3日、新潟県は糸魚川市で「第18回クラシックカーミーティング」が開催された。このイベントは糸魚川の地学的特徴や自然を紹介する「フォッサマグナミュージアム」の主催で、ヒストリックカーの展示に加え、地元バンドによるミニコンサート、フリーマーケットやキッチンカーなどで賑わう市民縁日などのコンテンツも用意され、ヒストリックカー好きのみならず県内外から訪れる家族連れなどにも親しまれている。今回は会場でみつけた非常に貴重な元祖「スーパーセブン」を紹介しよう。

「ロードカーの皮を被った競技車両」として生まれたロータス・セブン

もともと「ライトウェイト・スポーツ」とは、たんに車重が軽いということではなく、量産車メーカーが自社の実用車のコンポーネンツを巧みに流用して、若者やヤング・アット・ハートなクルマ好きに向けて作った、軽便だが本格的な味わいを備えたスポーツカー、といったニュアンスも含まれていたように思う。

具体的にはオースチン「ヒーレー・スプライト」やMG「ミジェット」、トライアンフ「スピットファイア」といった元祖・英国勢、あるいはかつてのトヨタ「スポーツ800」、近年のマツダ「ロードスター」などもその文脈に属するといえる。そしてそれらはいずれもメジャーな量産車メーカーが手がけたということもポイントで、価格や信頼性といった点においてもユーザーに対し敷居が低かったのだ。

「ロータス・セブン」といえば究極のライトウェイト・スポーツ。そしてその系譜に連なる「ケータハム・セブン」もまたしかり……と言ってももちろん間違いではないが、「ライトウェイト・スポーツ」という言葉がかつて含んでいた「日常生活に寄り添う敷居の低さ」といったニュアンスは、セブンには感じられない。なぜならセブンは普段使いの手軽なスポーツカーとしてではなく、当時のクラブマン・レースで勝つことを目的とした「ロードカーの皮を被った競技車両」として生み出されたからだ。

そんなロータス・セブンだが、1957年のシリーズ1のデビュー以来、シリーズ2、シリーズ3、シリーズ4と進化を続け、その度にほんの少しずつロードカーとしての部分も進化させてきた。1973年からはロータスから製造権を譲り受けたケータハムが今なおセブンを作り続けており、今年はケータハム・セブンの50周年にも当たる。

多くの欧州スポーツカーを乗りついだ末、このセブンにたどり着いた

そんな長い歴史を持つセブンだが、クラシックカーミーティングの会場に展示されていたのは1959年式のロータス・セブン。ノーズコーンや前後のフェンダーがFRP製となる1960年からのシリーズ2に対し、全てのボディパーツがアルミ製の初代、シリーズ1である。そんな元祖セブンでイベントに参加したのは横山栄一さんだ。

「このクルマに乗り始めてから8年くらいです。1980年代にミニに乗り始め、以来エランやヨーロッパ、カニ目(=オースチン・ヒーレー・スプライトMk.1)などを乗り継いできました。一時期はケータハム・セブンも……」

という、華麗なる趣味のクルマ遍歴。ヒストリックカー趣味を長く嗜んできたベテランならではのエピソードも多い。

「英国車オンリーというわけでもなく、イタリアやフランスのクルマに乗っていた時期もありました。今まで所有したクルマの中には、レストアや修理に明け暮れてほとんど乗らずに手放したものもあります(笑)」

高性能エンジンを積んだ「スーパーセブン」の元祖

セブン・シリーズ1のエンジンには英国フォードのサイドバルブ1.2LやBMCの1L Aタイプなどが用意されたが、横山栄一さんのセブンは1.1Lのコベントリー・クライマックスFWAエンジンが搭載された高性能モデル。いわゆる「スーパーセブン」の元祖だ。

「あちこちのイベントに参加するなど、今まで乗ってきたクルマたちの中では結構走っている方だと思います」

と語る横山さん。約半世紀にわたって数々のヒストリック・スポーツカーとともに過ごしてきたオーナーがたどり着いた究極の1台こそが、この走る機能以外すべてを削ぎ落としたライトウェイト・スポーツ、もとい、究極のピュア・スポーツたるロータス・セブン・シリーズ1だったということであろう。

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