アバルトの歴史的名車の名を冠した400台限定モデル
2022年5月に発売された、アバルトによるセルフチューニングの限定モデルが「695エッセエッセ」だ。「エッセエッセ=SS」とは英語で言えばスーパースポーツの意味。軽量化のためにボンネットはアルミ化され、リアのスポイラーは角度調整式を装着。アクラポヴィッチのマフラーに専用のホワイトバックシェル仕様のサベルトシートなど、数々の専用装備が採用されている。
運命を感じて人生初の左ハンドルMT輸入車を購入
そんなアバルト695エッセエッセに乗る女性オーナーの杉本雅代さんは、日本を代表するチューニングメーカー「HKS」に勤めるスタッフだが、事務部門であって、このアバルトはあくまでもプライベートカー。「もう買うしかない!」と思ってしまうタイミングでの出会いがきっかけだったそうだ。
HKSに入社したときは人生2台目のクルマであるSW20のトヨタ「MR2」に乗っていて、新入社員の中でもちょっと目を引く存在だった杉本さん。しかもグレードはターボエンジンのGTで、5速マニュアル車というかなり硬派なチョイス。もともとMR2に乗りたいと思っていたのだという。
そこからスズキ「ラパン」や今も乗っている「プリウス」に乗ってきたが、勤務先のHKSでは2021年から本格的にアバルトのチューニングに着手することとなった。
「会社で開発が始まったときから目にはしていましたが、そこまで興味はなかったです。なんですが、家の近くのディーラーに695エッセエッセがあると聞いて、不思議と運命なんじゃないかと思ってしまったんです」と杉本さんは振り返る。
「エッセエッセはマニュアルしかないのですが、いろいろ聞くと左ハンドルのほうがドライビングポジションが自然で乗りやすいそうですし、それにクルマも小さいし、左ハンドルでも良いかなと。生まれて初めての左ハンドルのマニュアル車でしたが、車幅も小さいのでそれほど気になりませんでした」
足まわりは自社のVIITSサスペンションで快適に
2022年6月の納車から1年弱で約6000kmを走行。通勤には使っていないので、そのほぼすべてがドライブかツーリングなどだという。
「運転するぞ! という日には最高のクルマです。スピードも面白いように出るし、アクラポヴィッチのマフラーは音が好きで交換しなくてもいいなと思えちゃいます。大きな不満はないのですが、純正のサスペンションはちょっとイマイチでした。かなりゴツゴツしていて、ドライブレコーダーが振動を検知してピーピー鳴りっぱなしになってしまって……。そこで手前味噌ですが評判の良いHKS VIITSサスペンションを購入しました。そしたらピーピー鳴ることもなくなり、すごくしなやかで快適になりました」
気になるポイントも愛嬌と思えるペットのようなクルマ
現在はサスペンション以外はノーマル。大幅にチューニングする予定もないものの、いろいろと気になることもあるようだ。
「ドアミラーが畳めないとか、1速から2速のギア比が離れているので、けっこう1速で引っ張ってからじゃないと2速に入れられないとか……。シートを倒すダイヤルは、あまりに使いにくいので左右の配置を入れ替えました。ほかにもエアコン全開だとアイドリングが不安定になるとか、ナビの画面がバグで見えなくなるとか、いろいろありますけど、たいしたトラブルじゃないしそれも含めて大好きですね。手のかかるペットみたいなもので、そういう足りないところを補いながら付き合っていきたい存在ですね」
今後は新たに登場したVIITSサスペンションのよりスポーティなモデルである「R」も気になるという。ほかにも給油口をキーで開けるのが面倒なので鍵なしタイプにするなど、カスタム熱が止まらないようだ。
「今でも満足しているんですが、パーツがたくさんあるし、次々に新しいパーツも出てきてしまうので変えたくて困ってしまいます。それだけ楽しめるクルマですね」
長距離ツーリングをメインに、アバルト695エッセエッセでのカーライフを楽しんでいる様子が伝わってくるのだった。