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12年レース参戦するダイハツ「ミラ」がいまだ現役! なぜ不利な車両で「東北660選手権」を走り続けるのか?

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

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主を変えて参戦し続けるマシンが存在

13年目を迎えた東北660選手権。今もなおエントリーが増え続けている人気イベントだが、初年度の開幕戦(2011年7月23日)から現在まで、毎シーズン欠かさず参加しているマシンが存在する。オーナーが変わったりフル参戦しない年こそあるものの、1年目からずっと走り続けている車両は他にいないはず。それが2023年シーズンの開幕戦でポールポジションを獲得し、決勝でも2位の好成績を残したL250V型ダイハツ「ミラ」だ。

コツコツと熟成を重ねて戦闘力を高めた

東北660選手権の主力といえば古くはHA23型スズキ「アルト」、今はL275型ミラやHA36型アルトが真っ先に思い浮かぶ。L250はツインカムエンジンのEF-VEを搭載した車両の生産台数が非常に少なく、載せ替え(エンジン型式が同じなので車両規則はOK)が前提となりマイナーな存在だ。

2代前のオーナーである菅野一平さんがドライブした初年度の開幕戦は、載せ替えが間に合わず非力なシングルカムエンジンEF-SEのまま走行することになり、10%という急勾配で知られるスポーツランドSUGOの最終コーナーで苦戦。ツインカムに変更した次戦では見違える走りだったと記憶している。

そこから今はL275で参戦する桜井晋吾さんを経て、2020年からこのL250を所有しているのは金野 智さん。参戦1年目から上位グループの一角を走ってはいたが、2023年5月7日の開幕戦で念願の初表彰台をゲットした。

孤軍奮闘するL250のポテンシャルを金野さんはこう語る。

「エンジンはライバルと遜色ないと思います。とくに高回転のパンチは同じダイハツKFより上で、ストレートの長いSUGOでは強い武器になるはずです。最大の泣きどころはボディが重いことで、エンジンが鋳鉄ブロックのせいもあり、軽量化してもレース前の車検では728kgありました(ライバルの多くは600kg台)。

あとは専用パーツが少ないのも難点でしょうか。L275などダイハツ車から多く流用できるとはいえ、適合するか調べたりセッティングするのがひと苦労。それでもFRPボンネットのような軽量パーツは皆無で、エンジンの強みがスポイルされていると感じます」

同じ車種に乗る選手がいないためセッティングのデータを共有できない、という点もレースにおいてはウィークポイントかもしれない。ただしそこは歴代のオーナーが12年かけてコツコツと煮詰めており、熟成し尽くしたと言い換えることもできる。

まだまだやれることはある!

金野さんによると「まだまだ足まわりは改善の余地があるし、自分の走りも成長できると思っています」とのこと。開幕戦で初めて表彰台に立てたのはもちろん喜ばしいが、予選からひとつポジションを落とし2位となったのは反省材料だろう。6月25日に開催される第2戦では優勝を目指すと同時に、シリーズ争いでもライバルたちをリードしたいところ。東北660選手権の歴史とともに歩んできた百戦錬磨のL250ミラ、毎年ごとに違うヒーローが出現する3クラスの目玉になることは確実だろう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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