AE90系スプリンターに存在した1代限りの5ドアハッチバック
2023年は28回もの旧車イベントを主催(協力)する日本旧軽車会。その4回目となる「昭和平成オールドカー展示会」が、4月23日に埼玉県上尾市のアリオ上尾で開催された。数百台の旧車が集合した会場から、今やイベントでも滅多に見かけることのないトヨタの5ドアハッチバック車を発見したのでご紹介しよう。
職場の先輩の影響でネオヒストリックの世界へ
トヨタの「スプリンター」といえば多くの人がまず思い浮かべるのが「トレノ」、いわゆるAE86(ハチロク)だが、「シエロ」といわれると「?」となる人が大半ではないだろうか。「スプリンター シエロ」はハチロクの次世代にあたる6代目AE90系スプリンターの5ドアハッチバックモデル。1987年にデビューし、1代限りで1991年には姿を消している。つまり、俗にいう(当時の)不人気モデル。それゆえ現在流通している台数は少なく、かなりレアなモデルとなっている。
そんなレアなモデルでイベントに参加していたのが、1987年式スプリンター シエロxiのオーナー、寺田晴彦さん。聞けば、シエロを手に入れるまでは新車を3年ごとに乗り換えるというタイプの人で、旧車やいわゆるマニアカーには乗ったことがなかったという。その寺田さんが、こちらの世界にやってくることになったのは、会社の先輩の影響だそうだ。
「門司港のネオクラシックカーフェスティバルに第1回から欠かさず、展示ではなくギャラリーとして行ってはる方で、その人の影響で自分もそのイベントに行ってみたくなって、行くんやったら一丁、展示もって。完全に汚染されたというか、影響を受けて」
ネットオークションでスプリンター シエロを発見
ある日、件の先輩と会社の休憩所で「カローラやスプリンターってAE86以外はほとんど見ないね」という話になり、ネットオークションで検索してみたところスプリンター シエロなる見慣れないクルマが出品されていたのを発見。そのシエロは、長らく出品が繰り返されている(要は落札されなかった)様子だったそうだ。
「ウォッチだけは異常に入って、入札したらすぐ落ちるような感じだったんです。それを先輩に見せたら、手をポンと叩いて“見に行きなさい”と。たまたま近くだったので見に行ってチェックしたんですがとくに問題なかったので、すぐに入札のボタンをポチっと」
ノーマルでこれからも維持していきたい
こうしてスプリンター・シエロを手に入れた寺田さん。先輩に影響され、どっぷりハマりこんでしまったカーライフはいかがなものだろうか。
「やっぱりこういう場に来たら注目してくれたり、がらりと人生180度変わりましたね。いろいろと繋がりもできましたし。そういえば、よくイベントでお会いするトヨタオート店の営業をやってた方が、“私が現役の頃に売ったことありません”とおっしゃってましたね(笑)」
レアなモデルではあるが、クルマとしては普通のクルマだという寺田さん。走行8万kmで購入してから3万kmほど走行しているが、ショックをカヤバに交換したくらいで大きなトラブルはないそうだ。それまでは自分のクルマを車検を通したことがほとんどなかったが、シエロはすでに2回も通しているのだとか。
「完全にノーマルで、これからも維持していくつもりです」
そう話す寺田さん、今ではすっかりネオヒストリックの虜になっているようだ。