当時以上に魅力的に目に映る4代目プレリュード
現役時代のホンダ「プレリュード」の人気は、それこそ飛ぶ鳥が落ちなければおかしいくらいの勢いだった。とくに2、3代目は国産スペシャルティクーペのトップブランドとしての絶頂期にあり、販売上もライバル車のトヨタ「セリカ」やS13が登場するまでの日産「シルビア」などを寄せ付けず、上級車だったトヨタ「ソアラ」とも対等に渡り合った。
ボディ全体から秘めたエネルギーがみなぎるデザイン
そんなプレリュードの4代目が登場したのが1991年9月のこと。このモデルの特徴は、それまでのスリムでシュッ! としたスタイルから一転、グッとマッシブで生命体のようなスタイルに一新されたことだった。事実ボディサイズは3代目までの5ナンバーサイズから全幅が1765mmへと拡幅し、3ナンバーサイズに。
それまでのプレリュードのスタイルは、薄いアンダーボディの上にキャビンを載せた構成だったが、この4代目ではキャビンとアンダーボディが連続した、ボディ全体から秘めたエネルギーがみなぎる……そうしたムードのロングノーズ&ショートデッキのプロポーションが特徴だった。
「ハンティングワイルドキャット=獲物を狙う猫」はデザインチームが掲げた外観デザインのテーマだったが、まさしく! といったところ。ラム圧を利用しエンジン冷却のための空気を採り入れる小さなエアインテークと、ヘッドライトを組み合わせたフロントはシャープなイメージ。
対してリアはキュッ! と絞りを効かせ、そこにボディと一体化したリアコンビランプを置いたエレガントな雰囲気。トランクリッドの車名エンブレムも、それまではブロック体だったが、筆記体が採用されていた。ブリタニーブルーグリーン・メタリックと呼ぶこの4代目で設定されたボディカラーは、それまでのプレリュードといえば赤……のイメージとは文脈の異なる新鮮なボディ色として設定された。
パーソナルクーペらしい装備も設定されていた
一方でインテリアは近未来指向というべきか、外観以上に斬新なデザインが与えられた。とくにインパネは、カタログでも見開きを使って大きく見せているが、眼前のメーターをはじめインジケーター類を室内幅いっぱいのひとつの大型のナセル(ひさし)の下に収めたのが見どころだった。
ホンダは「バイザーレス・グラフィックメーターパネル」と呼んでいた。今どきの大型ディスプレイをずらっと並べたインパネに(表示能力には大きな差はあるものの)どこか通じる……というか先取りをしたデザインだったと言えなくもない。
またインパネはドアトリムまで連続させた形状となっており、そのことで乗員が「包まれ感」を実感できるようになっていた。この場合、左右のエアコンの空気吹き出し口は「ドア側」に備わり、これは当時のホンダ車でしばしば採用していた方式でもあった。
ほかにリクライニングに連動する助手席背もたれの中折れ機構、センタースピーカーやDSP付きオーディオシステム、キーを差し込まずにドアの施錠/解錠ができる充電機能付きキーレスエントリー、クルーズコントロールなど、パーソナルクーペらしい装備も設定されていた。