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なぜ米国「ルート66」のスタート地点は3カ所ある? シカゴ中心部の観光とともにすべての始点を巡ってみよう【ルート66旅_03】

ジャクソン・ブルバードと、ミシガン・アベニューの交差点。ルート66が誕生したときのスタート地点で、現在のゴール地点でもある

ルート66の旅の始まりはイリノイ州シカゴから

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」は、クルマやバイク好きならずとも世界中から走りに来る人が絶えない人気の道です。これまで5回ルート66を往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内します。

アメリカ第3の都市として発展してきたシカゴ

アメリカ西部の発展に寄与したルート66が始まるのは、ミシガン湖の南西部に位置するイリノイ州シカゴだ。ニューヨークとロサンゼルスに次ぐ大きさで人口は約280万、周辺の都市圏を含めれば950万人に迫る世界でも屈指の規模。日本ではジャズやブルースといった音楽の街、また映画『アンタッチャブル』などでギャングの街、というイメージを持つ人が多いかもしれない。

現地ではミシガン湖から吹く風でウインディ・シティと呼ばれたり、100mを超える超高層ビルが古くから林立し摩天楼の発祥地としても有名だ。シカゴはミシガン湖とミシシッピ川を結ぶ運河の建設や、鉄道の開通などにより交通の要衝としてめざましく成長した。そんな街からアメリカで初となる国道のひとつ、ルート66が始まるのは必然かもしれない。

ルート66のスタート地点は年代によって3カ所

現在のスタート地点はシカゴ美術館のすぐ西側にあたる、アダムス・ストリートとミシガン・アベニューの交差点。西へ向かう一方通行であるアダムス・ストリートの左手に、「ROUTE 66 BEGIN」という標識がある。ただしマザー・ロードと愛されている道のわりには小さいうえ、路上駐車が多く目の前にクルマを停めるのも難しいため、時間に余裕があれば近隣の駐車場を利用したほうがいい。

徒歩を勧めるのには別の理由もある。ルート66のスタートとされるポイントは年代によって3カ所があり、じつは現在の場所はいったん廃線になり復活した後の始点なのだ。理由は現役だったころのスタート地点が逆向き、つまり東への一方通行に変更されていたから。なおアダムス・ストリートからひとつ南のジャクソン・ブルバードは東への一方通行で、そことミシガン・アベニューの交差点には「ROUTE 66 END」の標識が立っている。

面白いのはスタートの看板は一緒に記念撮影したり、そこそこ観光名所っぽい空気を醸し出しているのだが、エンドのほうは足を止める人すらごくわずかなことだ。西のサンタモニカからシカゴを目指して走る人も少なくないのに、やはり歴史的には東から西へ走るのがセオリーなのかと痛感する。この「東からスタートするか西からスタートするか」は、別の機会に改めてメリットとデメリットを書いてみたい。

なぜか「終点」の看板はとっても地味

話をスタート地点の変遷に戻そう。ルート66が創設された1926~1937年は、現在の終点すなわちジャクソン・ブルバードと、ミシガン・アベニューの交差点が始まり。ただし復活後に作られた「ROUTE 66 END」の看板はあれど、マザー・ロードが誕生した記念すべき地としてはだいぶ地味だ。

1937~1985年と最も長い期間にわたっての始点だった、ジャクソン・ブルバードとレイクショア・ドライブの交差点は、さらに素っ気なく看板のひとつすらないことに驚かされる。西の起点であるサンタモニカは有名な観光地で、ルート66のグッズを売るギフトショップも多い。シカゴも少し商売っ気を出してもいいのに、なんて差し出がましい考えが浮かんでしまう。

これらの3カ所を徒歩で巡っても15分ほど。すべてのスタート地点を写真に収めることはもちろんだが、グラント・パークでシカゴ美術館やバッキンガム噴水を見学したり、キレイに整備されたミシガン湖のほとりを散歩するのも楽しい。ルート66の長い旅をスタートする前に、つかの間のシカゴニアン気分を味わってみよう。

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