ドブロはシンプルで飽きの来ない「オトナのギア」
フィアットのマルチパーパスビークル「ドブロ」が日本上陸。シトロエン「ベルランゴ」とプジョー「リフター」の姉妹車ですが、シンプルな「オトナのギア」として差別化が図られています。7人乗りも用意される「ツール」の使い勝手や走りをレポートします。
「3姉妹」でもっともシンプルな内外装
フィアットのMPV(マルチパーパスビークル)、「ドブロ(Doblo)」の国内正規導入が始まった。ドブロは2000年に誕生した商用&乗用車。初代と2代目は日本へは正規輸入されることなく、この3代目になって本邦初ということになる。
「500(チンクエチェント)」や「パンダ」など、日本ではコンパクトカーのイメージの強いフィアットだが、本国ではすでにドブロのEV版や、さらに大きなEVミニバンの「Eウリッセ」なんてモデルもラインナップしている。日本でもキャンピングカー需要の高まりをうけて、LCV(Light Commercial Vehicle)の「デュカト」の正規導入を開始するなど、モデルバリエーションの拡大に積極的だ。
3代目となるドブロは、ステランティス・グループのシナジーを活かし、シトロエン ベルランゴ、プジョー リフターとの姉妹車という位置づけだ。これら3モデルは多くの部品を共有するものの、デザインや装備など細部において差別化が図られている。
ベルランゴは、シトロエンらしい乗り味やポップな内外装デザインが特徴。ドブロには設定のないマルチパノラミックルーフなども備える。リフターは、プジョー独自のステアリング&メーターのレイアウト、i-Cockpitやアドバンスドグリップコントロールを装備し、走破性を高めたSUVライクな仕様となっている。
そしてこのドブロは、デザイン、装備ともに3モデル中、もっともシンプルな設定。フロントマスクの中央には、シルバーのタイポグラフィで表現された新世代のフィアットロゴを配している。無塗装の前後バンパーやボディサイドのモールが道具感を演出する。2列目のドアは左右ともにスライドドアで、リアのハッチゲートには、ガラス部分だけを開閉可能なガラスハッチも備える。モデルバリエーションは姉妹車と同様に5人乗りのベース車と7人乗り「ドブロ マキシ」のふたつからなる。
2列目&3列目は独立式でしっかり座れるシート
ボディサイズは、ベース車が全長4405mm×全幅1850mm×全高1800mm、ホイールベース2785mm。一方、7人乗りのマキシが全長4770mm×全幅1850mm×全高1870mm、ホイールベース2975mmと、全長+370mm、ホイールベースは+190mmサイズアップしている。最大ラゲッジ容量は、ベース車で2126L、マキシが2693L。
例えば国産ミニバンと比較してみると、トヨタ「ヴォクシー」が、全長4695mm×全幅1730mm×全高1895mm、「アルファード」が全長4945mm×全幅1850mm×全高1950mmなので、ベース車はヴォクシーよりも、マキシはアルファードよりも、全長はコンパクトに収まっていることがわかる。
インテリアの基本的な造形はベルランゴとも共通のもの。インパネの中央に8インチのタッチスクリーンを備える。ナビゲーションは含まれておらず、Apple CarPlayやAndroid Autoによるスマートフォンとの接続を前提とする。ATセレクターはダイヤル式で、その下にはマニュアルモードのボタンが備わる。メーターの上部やセンターコンソール、さらには運転席&助手席の頭上など、至るところに小物入れが充実している点も姉妹車と共通のポイントだ。
シートは、クッションが硬めでしっかりとしたつくりのもの。2列目の3座シートも、マキシの3列目の2座シートもすべて独立式となっている。2列目シートのニースペースは広く、そして3列目シートは、身長約180cmの大人が座っても窮屈に感じないスペースが確保されていて、これには少し驚いた。いずれのシートもシートバックをワンアクションで前方に倒すことが可能。3列目シートは前方へ跳ね上げるタンブル格納もでき、さらに取り外すこともできる。3列目は左右のシート間にもスペースがあるため、乗り降りする際に2列目のドアからだけでなく、リアのハッチゲートからもアクセスできる点がいい。