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日産「新型セレナe-POWER」を「ノア・ヴォク」と「ステップワゴン」と徹底比較! シートアレンジやスライドドアの使い勝手がいいのは?

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TEXT: 青山尚暉(AOYAMA Naoki)  PHOTO: 木村博道/AMW編集部

ラゲッジスペースの広さは三者三様

では、ラゲッジスペースの広さはどうか。重い荷物の出し入れ時の持ち上げ量にかかわる開口部地上高(実測)は新型セレナ540mm(段差なし)、ノア&ヴォクシー500mm(段差なし)、ステップワゴン510mm(段差なし)。フロアの低さではノア&ヴォクシーとステップワゴンがやや優位だが、新型セレナの540mmもじつはかなり低い。ちなみに世界のステーションワゴンのラゲッジルーム開口部地上高平均値は620mmである。

フロアはどうだろう。3列目席使用時では、実測でクラス唯一の3列目席スライド機構を完備する新型セレナが奥行最大480mm(3列目席後端位置だと360mm)、実用幅1170mm、最小天井高1170mm。ノア&ヴォクシーは奥行410mm、実用幅1280mm、最小天井高1220mm。ステップワゴンは奥行420mm、実用幅1200mm、最小天井高1460mm。

つまり、実際の荷物の積載性に大きく関わる奥行なら3列目席にスライド機構が付いた奥行調整自在の新型セレナ、幅方向はノア&ヴォクシー、高さ方向ならステップワゴンが優位ということになる。ちなみに転がりやすいものや汚れものを一時的に収納しておくのに便利な床下収納は、新型セレナとノア&ヴォクシーにある。ステップワゴンはフロアを限界まで下げ、ラゲッジスペースの高さ方向を稼ぐ考え方で、床下収納はない。

また、3列目席の格納方法は2タイプ。新型セレナとノア&ヴォクシーは左右跳ね上げ式。ステップワゴンは床下収納式だ。床下収納式は3列目席格納時でも室内後部がすっきり。リアクオーターウインドウの視界を遮ることなく、ラゲッジスペース上部の幅を狭めることがないメリットがある。だが、床下収納を持てないというデメリットもある。一方、左右跳ね上げ式は、格納時にリアクオーターウインドウの視界を一部遮るとともに、ラゲッジスペース上部の幅が狭まるデメリットがある。メリットとしては床下収納を持てるところが大きい。

ステップワゴンの3列目収納

3列目席格納操作に関しては、やはり床下収納式のステップワゴンが楽。新型セレナの場合、3列目席の左右跳ね上げ操作に複数の手順、力を要する。しかし、ノア&ヴォクシーは左右跳ね上げ式にして、完全ワンタッチで固定までOK。3列目席格納操作の点では、ステップワゴンとノア&ヴォクシーが優位に立つ。もっとも、3列目席の格納操作などめったに行わないユーザーにとっては、新型セレナでもどうということはないだろう。

そうそう、空前のアウトドアブームの中、ミニバンでアウトドアに出掛け、昼寝や仮眠、そして車中泊をする人もいるはずだ。そんなときに優秀なのが新型セレナ。2-3列目席フラットアレンジ時のベッド長は2150mmとクラス最大(ノア&ヴォクシー2080mm、ステップワゴン2040mm)。しかも、ノア&ヴォクシーとステップワゴンはフラットアレンジしたベッド面がかなり凸凹しているのに対して、新型セレナはかなりフラット。実際に寝てみたが、マットレスなしでも快適に寝られるほどだった。車中泊前提なら、AC100V/1500Wコンセントもオプション装備できる(ノア&ヴォクシーにも用意)新型セレナで決まりかもしれない。

各車こだわりがあるもののリアウインドウ部のみ開くセレナが一歩リード

最後に、ボックス型ミニバンのウィークポイントのひとつである、車体後方にスペースのない場所におけるテールゲートの開閉性だ。新型セレナは先代から継承され、より使いやすくなっているデュアルバックドアを採用。テールゲート全体を大きく開けると、車体後方に約1150mmのスペースが必要なところ、デュアルバックドアを利用すれば、車体後方に必要なスペースは550mmで済む。

ノア&ヴォクシーはじつに賢いアイデアを持つ。パワーテールゲート装着車の場合、任意の位置で開閉を止めることができ、少し開けた状態でも横からテールゲートの下に入れる。そのため車体後方にスペースがない場所でも、荷物の出し入れが容易であることを確認済みだ。しかも、パワーテールゲート非装着車でも、カラクリ機構によってこれまた任意の位置で開閉を止められるので超便利。

一方、ステップワゴンは、6代目で初採用のパワーテールゲート装着車ならノア&ヴォクシー同様、任意の位置で開閉を止められるようになっている。だが、AIRグレードにはパワーテールゲートの設定がないため大きく全開にしなければならず、車体後方にスペースのない場所での荷物の出し入れには苦労する。

以上は、走行性能以外の部分での3車の比較である。走行性能の比較については、改めて報告したい。

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