当時の技術の粋を集めたハイテクマシンに仕上がっていた
ホンダとしては久々の2ドアノッチバッククーペとして1978年に初代モデルが登場した「プレリュード」は、日本車としては初となる電動サンルーフを装着するなど、スペシャリティクーペとして人気を博したモデルだ。その人気を不動のものとしたのが、1982年11月に登場した2代目モデルだろう。
エンジンは通好みのチューニングがされていた
当時、流行の兆しを見せていたリトラクタブルヘッドライトを採用し、フロントのサスペンション形状をストラットからダブルウィッシュボーン式に変更。その結果、初代よりも10センチ前後低められたボンネットフードが外観の大きな特徴だ。
フロントにダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用したのはスタイリングだけでなく、当然ながらハンドリングの向上にも大きく貢献。FFレイアウトでありながらスポーティな走りを楽しむことができる仕上がりとなっていた。
搭載されるエンジンも完全新設計の1.8L直列4気筒となり、サイドドラフト可変ベンチュリー型(CV型)キャブレターを2連装。さらにコンパクトルーフ型燃焼室や、B・Cトーチ(Branched・Conduit・トーチ=分岐トーチ)の採用による高圧縮比化など、通好みのチューニングがなされており、125psの高出力と13.0km/Lの燃費性能を両立していた。
トランスミッションは当時まだまだ主流だった5速MTはもちろん、新開発のロックアップ機構付きホンダマチック4速ATも用意されている。
また日本初の4輪アンチロックブレーキ(4wA.L.B.:4wheel Anti-Lock Brakeの頭文字を取ったもので現在のABS)を設定するなど、先進性でも大きくアピールをしていた。
デートカーとして話題になった
このように性能面でも当時の技術の粋を集めたハイテクマシンに仕上がっていた2代目プレリュードだが、やはり本質はデートカーだった。スタイリッシュなエクステリアはもちろん、運転席側から助手席を倒すことができる妖しい装備なども相まって高い人気を獲得したのである。
これでも十分な性能と人気を持ち合わせていたプレリュードであったが、1984年10月にマイナーチェンジを実施して後期型になると、法改正によって装着することが許されるようになったドアミラーを装着。さらにエクステリアをブラッシュアップした。
翌1985年6月には、160psを発生する2L DOHCのB20A型エンジンを搭載した「Si」グレードを追加するなどたゆまぬ進化を続けていた2代目プレリュードだが、そのメカニズムにはあまり注目されずデートカーとして人気を集めてしまったのは、はたして幸せだったのだろうか、それとも不幸だったのだろうか?