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【ル・マン4連勝】フェラーリを完膚なきまでに打ち負かした「フォードGT」は、歴史的王者になった!

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

ローラをベースに登場したフォードGTは挑戦を重ねてル・マン王者に

「ローラMk6 GT」と呼ばれるプロトタイプはわずか3台が製作されたのみですが、大排気量(4.7L)のフォードV8エンジンを初めてミッドシップに搭載したスポーツカーとして大きなエポックとなった1台です。3台のうち2台が1963年のル・マン24時間にエントリー。1台はアクシデントでリタイアし、もう1台は予選不出走に終わっていますが、そこから得られた知見をベースに製作されたマシンがフォードGTでした。

このときは単にフォードGTと呼ばれていましたが、40インチの車高から「GT40」と呼ばれるようになり、後述のMk IIからはシャシーナンバーもFord GT40と明記。最初のフォードGTにおいては、ローラ製のモノコックはスチールパネルを使ったツインチューブ式で、前後ともにダブルウィッシュボーン式サスペンションが組み付けられ、4.2Lのフォード製プッシュロッドV8エンジンが搭載されていました。

Mk6 GTにも似たFRP製のカウルワークは風洞実験によってスタイリングが決定されていました。1964年のル・マン24時間には3台が出場しましたが、そのうち2台はコロッティ社(伊)製トランスミッションにトラブルが発生し、もう1台は車両火災が原因でしたが、結果的に3台はともにリタイアに終わっています。

翌1965年、フォードは体制を変更しています。前年の1964年は、イギリスに前進基地として設けたFAV(Ford Advanced Vehicles)が主体となってワークスチームを運営していましたが、1965年にはワークス活動をシェルビー・アメリカンに委託し、FAVは翌1966年シーズン用ホモロゲーションモデル製作に専念しています。

フォードGT40

ル・マン24時間レースでは、前年モデルに手を加えたGT40 Mk Iに加えて、7Lまで排気量を拡大したプッシュロッドV8を搭載し、スタイリングもロングノーズに変更したMk IIを2台投入しています。ただしこの年も全車がリタイア。ワークスのMk IIは2台とも、前年同様にトランスミッションのトラブルに泣いています。

そして迎えた1966年、フォードはロングノーズをショートノーズに置き換えるなど大幅に手を加えたMk IIを8台(!)、50台以上を生産してスポーツカーのホモロゲーションを取得したGT40をバックアップとして5台をル・マン24時間にエントリー。

公式予選からライバルを圧倒していたMk IIは決勝でも他を寄せ付けることなく上位を独占。見事な1-2-3フィニッシュを飾って長年の悲願を達成したのです。続く1967年には空力を追求してカウルを一新したMk IVを主戦マシンに据えて連覇を果たすことになります。

翌1968年はレギュレーションが変更されスポーツカーは5L以下、スポーツ・プロトタイプは3L以下にエンジン排気量が制限され7LのMk IIやMk IVは参加できなくなり、フォードはル・マンから撤退を決定しました。しかしそれまでFAVでマネージャーを務めていたジョン・ワイアが新たに組織した新チームであるJWエンジニアリングが、フォードGT40をベースに、スポーツカーの制限一杯となる5Lまで排気量を引き上げて参戦。GT40の連勝記録を3に伸ばしています。

さらに1969年には、1968年に優勝したマシンそのものが連勝を果たし、フォードGT40は、結果的に1966年から1969年まで見事4連勝を飾って歴史的王者となりました。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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