ドアを開けた際のインパクトは当時の市販車で随一だった
他方でインテリアでは赤内装が売りのひとつだった。カタログにも「鮮烈な個性をアピールする情熱の赤です」とあり、その側に「※1」ともあるので何の説明だろうか? と辿ると、単に「※1 SiR、Siに設定」とあっただけではあったが、メイン材のパターンが施されたモケットとカブロンと呼ばれるサイド材の組み合わせも選べるシート表皮としていた。
「カブロン」はホンダがアキレスと共同開発した、特殊ポリウレタンを独自に加工した新素材だった。そのシート表皮に合わせて赤内装車はインパネ下部、ドアのインサート部分のほか、カーペット(オプション設定のフロアマットも)、センターコンソール側面、センターアームレスト、さらにルーフトリム、サンバイザーなども赤でコーディネートされていた。落ち着いた色調に整えられた赤ではあったが、ドアを開けた際のインパクトは当時の市販車で随一だったように思う。
搭載エンジンは2.2LのDOHC・VTECのH22A型(220ps/22.5kgm)をフラッグシップのType S(5速MTのみの設定)に搭載。さらにその200ps/22.3kgm版をSiRに、F22B 型のDOHC版(160ps/20.5kgm)をSi、SOHC版(135ps/19.6kgm)をXiにそれぞれ搭載。
「幅広いユーザーのために、SOHC 16バルブエンジンを搭載したXiを追加」(広報資料より)したことがポイントだったほか、全AT車にSマチックと呼ばれる、シーケンシャルモード付きが採用された。それと新たに「ATTS(アクティブ・トルク・トランスファー・システム)」をType Sに搭載。これはコーナリング時に外輪の駆動力を大きくすることでアンダーステアなどを軽減、クルマの曲がる力を高めて安定したコーナリングを実現する機構で、最大左右で80:20の駆動力配分をコンピュータ制御するものだった。
大人のクーペらしく涼しい顔をして乗っていられるよう、全面高熱線吸収UVカットガラスやエアコンの機器効率の向上、ダクトの改善、最大風量時の空調音の低減など、快適性向上のための地味な(?)配慮も。オーディオには音響特性を自動補正する機能も入れられた。だが、この5代目を最後にプレリュードはインテグラとまさに「インテグレート」(統合)される運命を辿るとは。2001年に消えてしまったのがなんとも惜しいメイクだった。