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ホンダ「プレリュード」は内装のインパクトが凄かった! デートカーからの脱却を図った5代目を振り返ります【カタログは語る】

スリムで伸びやかなスポーツクーペだった

2001年に消えてしまったのが何とも惜しい……

「プレリュ」。いきなり何を言い出したのか!? と思われたかもしれないが、1980年代、「プレリュード人気」が絶頂期だった2代目の頃、巷の女子がプレリュードのことをそう呼ぶのを聞いたことがあった。ちなみに彼女たち(というか、とある特定の彼女のことだが)は、あのポルシェのことを「ポルポル君」とも呼んでいた。

クールな印象に生まれ変わった5代目

さすがにポルシェが身近な存在だった人は限られていただろうが、プレリュードであれば自分の身のまわりの男友達や、あるいは自分自身が運転するクルマとして親しんでいる事例は少なからずあっただろう。事実、筆者の身のまわりでも自分のクルマとして2代目プレリュードに乗っていた女子は複数人がいた。

そんなプレリュードだったが、ミニバンやSUVの市場での人気に押され、次第に存在感が弱くなっていったのもまた事実。当時、そのことはプレリュードに限らず、スペシャルティカーのジャンルのクルマたちの多くが辿った流れでもあった。

プレリュードでいえば、1991年9月登場の4代目でいくぶんかスポーツ性を強め新境地を開拓しようとしてそれが成功を収めたかといえば、決してそうとは言えなかった。そうした経緯もあり、4代目の登場から5年2カ月の1996年11月、プレリュードはこの5代目にフルモデルチェンジされたのだった。

言葉で表現すると、エモーショナルだった4代目から一転、随分クールな印象に生まれ変わった……そんな印象のクルマだった。デザインはHRA(アメリカ)、HRE(欧州)からもアイデアが出され、最終的にはHGW(和光)案をもとに生み出されたもの。

十分に低いスポーツクーペのフォルムだった

エクステリアデザインでは大光量フリーフォームリフレクターヘッドライトとネーミングされた縦型のヘッドライトが珍しく、特徴のひとつ。ハイビーム/ロービームを上/下に配置し、高い位置に光源を置くことで、それまでよりも広く遠くまで照射を範囲が広げたものとしていた。

同時にフードの中央部分を低く落としているところは、リトラクタブルヘッドライト時代の2・3代目を思わせた。またリアビューも、Cピラー、トランクまわりのシンプルだがいい形に仕上げられた佇まいに(筆者のごく個人的な感想だったが)、「ビトゥルボ」に始まり2代目「ギブリ」へと発展したあたりのマセラティの面影が感じられるとも思えた。

ちなみに4代目がグラマラスだったせいか小振りにも見えたが、全幅こそ両者の差は5mmだったものの、5代目のほうが全長は+80mmの4520mm、全高は+25mmの1315mm、ホイールベースは+35mmの2585mmで、スリムで伸びやかなうえ、十分に低いスポーツクーペのフォルムだったともいえる。

また最初のカタログ表紙の写真は、プレリュードをやや俯瞰から捉え、明るさを低く落としたライティングでボディの陰影と点灯させたヘッドライトを強調したもの。デザインテーマの「光と影」を表現したものだった。さらに表紙を開くと、あたかもボディを外して露わになったかのように、インテリアとエンジンが見える……そんな構成だった。

ドアを開けた際のインパクトは当時の市販車で随一だった

他方でインテリアでは赤内装が売りのひとつだった。カタログにも「鮮烈な個性をアピールする情熱の赤です」とあり、その側に「※1」ともあるので何の説明だろうか? と辿ると、単に「※1 SiR、Siに設定」とあっただけではあったが、メイン材のパターンが施されたモケットとカブロンと呼ばれるサイド材の組み合わせも選べるシート表皮としていた。

「カブロン」はホンダがアキレスと共同開発した、特殊ポリウレタンを独自に加工した新素材だった。そのシート表皮に合わせて赤内装車はインパネ下部、ドアのインサート部分のほか、カーペット(オプション設定のフロアマットも)、センターコンソール側面、センターアームレスト、さらにルーフトリム、サンバイザーなども赤でコーディネートされていた。落ち着いた色調に整えられた赤ではあったが、ドアを開けた際のインパクトは当時の市販車で随一だったように思う。

搭載エンジンは2.2LのDOHC・VTECのH22A型(220ps/22.5kgm)をフラッグシップのType S(5速MTのみの設定)に搭載。さらにその200ps/22.3kgm版をSiRに、F22B 型のDOHC版(160ps/20.5kgm)をSi、SOHC版(135ps/19.6kgm)をXiにそれぞれ搭載。

「幅広いユーザーのために、SOHC 16バルブエンジンを搭載したXiを追加」(広報資料より)したことがポイントだったほか、全AT車にSマチックと呼ばれる、シーケンシャルモード付きが採用された。それと新たに「ATTS(アクティブ・トルク・トランスファー・システム)」をType Sに搭載。これはコーナリング時に外輪の駆動力を大きくすることでアンダーステアなどを軽減、クルマの曲がる力を高めて安定したコーナリングを実現する機構で、最大左右で80:20の駆動力配分をコンピュータ制御するものだった。

大人のクーペらしく涼しい顔をして乗っていられるよう、全面高熱線吸収UVカットガラスやエアコンの機器効率の向上、ダクトの改善、最大風量時の空調音の低減など、快適性向上のための地味な(?)配慮も。オーディオには音響特性を自動補正する機能も入れられた。だが、この5代目を最後にプレリュードはインテグラとまさに「インテグレート」(統合)される運命を辿るとは。2001年に消えてしまったのがなんとも惜しいメイクだった。

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