ハイスピードの豪快ドリフトで見応えのある富士スピードウェイ
日本で生まれたドリフト競技を、2004年からアメリカを横断する形で開催して世界を魅了している「フォーミュラドリフト」。そんなアメリカ発のドリフト競技をドリフト発祥の日本に逆輸入したのが「フォーミュラドリフトジャパン」だ。2023年4月に行われた開幕戦では、最年少で参加する13歳のドライバー・箕輪大也が優勝し、第2戦では、2022年WRCワールドチャンピオンのカッレ・ロバンペラが初参戦で初優勝するなど、世界中から注目を集めている。その第3戦が6月9日(金)~10日(土)に、静岡県の富士スピードウェイで行われた。
予選はウエットからドライへ、熾烈なトップ争いが展開
フォーミュラドリフトジャパンは国際サーキットでも開催されており、2023年も第3戦に富士スピードウェイ、第4戦に宮城県・スポーツランドSUGO、最終戦となる第6戦には岡山県・岡山国際サーキットでの開催が予定されている。今回行われた富士スピードウェイは、コカ・コーラコーナー付近がスタート地点となり、そこからグリーンファイト100RからADVANコーナーを立ち上がったところまでが審査コーナーとなる。3つのアウトゾーンとひとつのインクリップが設けられ、スピードあるドリフトで見応えのあるラウンドとして人気が高い。昨年までは最終戦に組まれていたが、今年は第3戦となり早くも行われた。
予選日の6月9日は早朝から昼前後まで大荒れの天気が予想されたため、タイムスケジュールをすべて2時間繰り下げた形での開催となった。予選1本目はウエットからハーフウエット路面での戦いとなったが、2本目にはドライでの走行となり、終盤はし烈なトップ争いが繰り広げられた。
1本目でトップとなる得点を出したのは、第2戦終了時点でシリーズランキング1位の箕輪大也(GRヤリス)。他を引き離す95点を出し、このまま予選を突破するかと思われた。しかし2本目に、第2戦でカッレ・ロバンペラ相手に好勝負を演じた蕎麦切広大(GR86)が96点を出してトップに立つ。すると次に走行したマッド・マイク(RX-7)が97点でさらに上をいく。そして最後に走行した箕輪大也が、さらにその上をいく98点を記録し、今期絶好調ぶりを猛烈アピールした。昨年のシリーズチャンピオン・松山北斗(GRスープラ)は地元静岡での開催だったが、1本目76点、2本目77点と思うように得点を伸ばすことができず、34位で終了。悔しい予選敗退となった。
髙橋和己が富士スピードウェイ2連勝を決める
10日の上位32台による追走で行われる決勝トーナメントもすんなり収まらない厳しい戦いとなった。予選トップの箕輪大也は、予選32位の平岡英郎(GR86)を破り、今大会も強さを見せるのかと思われたが、トップ16で対戦した同チーム・CUSCO Racingの草場佑介(GR86)と対戦しここで敗退となり、第3戦は9位で終了した。予選2位のマッド・マイクもグレート8で対戦した予選7位の日比野哲也(RZ34フェアレディZ)に破れて、5位に終わった。
ハイスピードで豪快なドリフトを競う富士スピードウェイのラウンドは、マシンにかかる負担も大きい。今回もマシントラブルに苦しむ選手が続出。これまで4回のシリーズチャンピオンを獲得したアンドリュー・グレイは、予選を9位で通過するもトップ32は走行できずにマシントラブルでリタイア。KANTAもトップ32で予選30位の夏 昌浩(R35GT-R)と対戦にワンモアタイムにもつれ込むも、前戦に続き5分間ルールを使ってマシン修復を試みたが、タイムアウトでの敗退。さらに追走に入ってから調子を上げてきた予選11位の山中真生(GRスープラ)もグレート8まで勝ち進むが、ワンモアタイム走行中にマシントラブルで敗退となった。
ファイナルに勝ち進んだのは、ファイナル4で予選4位の蕎麦切広大を破った予選8位の髙橋和己(BMW E92)と、初出場ながらファイナル4に勝ち進んだ夏 昌浩を破って勝ち上がった日比野哲也。どちらもダイナミックなドリフトで攻めたが、昨年の富士スピードウェイでの最終戦で優勝した髙橋和己が勝利し、同サーキットでの2連勝となった。
シリーズチャンピオン争奪戦が面白くなってきた
これで面白くなったのが、シリーズチャンピオン争い。第1戦での優勝からシリーズランキング1位を走る箕輪大也がトップをキープ。今回の優勝で、第2戦終了時7位から一気に2位まで順位を上げてきた高橋和己が7ポイント差まで追い上げてきた。今大会はトップ16で敗退した小橋正典だが、トップに23ポイント差の3位に留まる大混戦。上位陣が総崩れした今回、順位の変動があったが、逆にポイント差はグッと縮まった。7月22日(土)~23日(日)にスポーツランドSUGOで第4戦が行われる。このラウンドを制したものが、チャンピオンに近づくことは間違いないだろう。
【リザルト】 2023 FORMULA DRIFT JAPAN ROUND.3 FUJI INTERNATIONAL SPEEDWAY(2023.6.9-10) 優勝 髙橋和己 BMW-E92 千葉県 TMS RACING TEAM SAILUN TIRE 【2023 FORMULA DRIFT JAPAN シリーズランキング】 1位 212 Point 箕輪大也 GRヤリス 東京都 CUSCO Racing |