懐かしの80年代丸目フェイス
近年のブームによって、カスタム軽トラ界もジャンルが細分化され、ストリート仕様やオフローダー仕様など多くのジャンルが確立されている。そんななか、大阪・羽曳野のガレージイルが手がけるダイハツ「ハイゼット」は、懐かしの80年代ルックをまとったネオクラシックスタイルが特徴だ。近年、何かにつけて80年代モノが注目を集めているが、さすがに30年ほど前のクルマを転がすには不安も多く、中身が最新で当時のスタイルを持ったクルマがあればなぁ……と思う人も多い。そんな軽トラフリークの願望を叶えたのがガレージイルが横浜ホットロッドカスタムショーに出展していた「ジェット★ゴーゴー ハイゼット」である。
ボルトオンでフェイスチェンジ
1993年創業のガレージイルは、スポーツ系からローライダーまで幅広いジャンルのカスタムを担い、国内外で多くのショーカーを手がけた実績を誇る。アラブのアブダビで開催される「CUSTOM SHOW EMIRATES」では、2度にわたって「CUSTOM SHOW EMIRATES AWARD」を受賞。そんな実績あるガレージイルが立ち上げた軽トラ専門カスタムブランドこそが「ジェット★ゴーゴー」である。
現行ハイゼット(S500P/S510P)を80年代ルックに仕上げる「ジェット★ゴーゴーフロントフェイスキット」は、フロントマスク・グリル・バンパーと、ヘッドライト・コーナーランプ・ウインカーの灯火類で構成されたキットで、灯火類以外はボルトオン交換するだけで純正フェイスから懐かしの80年代「マユゲ」フェイスのハイゼットへと変身すると評判だ。
このマユゲとは、6代目ハイゼット時代に親しまれた呼び名で、丸目ライト上部にウインカーが配置されていたことから「マユゲ」の愛称で親しまれていた。
そんなガレージイルのジェット★ゴーゴー ハイゼットには、世界一車高の低い軽トラをコンセプトに掲げた1台が存在している。それが、今回紹介するありえないほど低すぎる軽トラだ。
限界に挑んだローダウン
通常のローダウンはサスなど足まわりの変更が主流だが、低くしすぎるとタイヤがボディやフレームに干渉してしまう。そこで、ガレージイルでは、フロア部とボディ部を分離し、ボディ部だけを下げるチャネリング加工を施すことで尋常ではない低車高を実現させた。
その加工手法について話を伺った。まず、ボディ部を下げるにあたり、フロントフェイスパネルとバックパネルを10cmカットして短縮させ、フロア面をそのままにボディを10cm下げられるように加工。すると、フロントフェイスパネルが短くなり、ブレーキ装置類やハンドルシャフト、ブロア装置類などがボディに干渉するため、すべての配置を移動させ、しっかり機能するように作り込むという大がかりな作業となったそうだ。
サスペンションはアキュエアー製のエアサスを装備し、全高は17cmのローダウン化を実現。誰が見ても低いと感じるように、ボディが完全にタイヤ&ホイールに覆いかぶさる究極のローダウンスタイルを実現させた。
また、このハイゼットはジャンボをベースにしているため、通常はハイルーフ仕様になってしまうが、究極のローダウン車にハイルーフのままではバランスが悪くカッコ良くないので標準トラックルーフ仕様への加工も施していた。
ボディとフロアを一旦切り離し、高さ調整を行い、再び接合して全高を下げる大掛がかりなチャネリング加工というカスタムを施してローダウンさせたハイゼット。実用性を抜きにして究極を追求すべく挑んだショップデモカーは、極めた技術の証として、このようなカスタム手法があるという視点で見ると面白い。