EV版のEドブロが日本導入される可能性は?
──本国ではステランティスとして電動化を推し進めていて、欧州にはEVの「Eドブロ」もデビューしています。今回、ベルランゴやリフターと同じ1.5Lディーゼルを入れた理由はどこにありますか。
日本でこのセグメントの25%がディーゼルと、安定して強いマーケットがあるため、まずはディーゼルを選定しました。しかし、Eドブロを日本に持ってくることは真剣に検討しています。
やはりステランティス全体としてEVに対するコミットメントをしていますし、すでにご存知のとおり2030年に向けた戦略も展開しています。その中で2038年までにカーボンニュートラルにするとしていますので、今後EVなどを次々ローンチしていきます。その一環でEドブロの日本導入も検討しています。
日本の市場もかなり変化してきていますが、例えば私が担当しているアジア・パシフィック地域でもニュージーランドではクリーンカー法によって人々のクルマに対する消費行動がガラッと変わったんですね。日本が必ずしも遅れているわけではないのですが、こういった地域で出しているものから日本市場に向けて、一番いいものを一番いいタイミングで投入できる・選べるというのが我々の日本でのメリットだと思います。なのでつねに我々はラインナップを検討し、ここぞというタイミングで出せるようにしています。
具体的に今後どうするというお話はできないのですが、今年度末までには日本でステランティスとして19台のBEVやPHEVの電動化モデルが揃う予定です。
昨年日本に導入した「500e」は素晴らしいクルマで、フィアットとして初めてのフル電動車、しかもコンバーチブルなんですよね。排気ガスの無い完全にクリーンな状態でフルオープンの走りを楽しめるということで、日本のお客様にもぜひ運転してもらいたいと思います。
ステランティス全体として環境問題に取り組んでいく
──EVに向けて、問題は日本の充電環境だけですね。
やはりこれは環境全体、インフラとしての問題なので、関与する全員がそれぞれの面から取り組んでいく必要があります。ですから我々はENEOSとパートナーシップを組んでいますし、ディーラーでは全国350カ所で充電器を設けました。お客様がいつでも立ち寄っていただいて充電できるように取り組んでいます。
ステランティスとして1点強調しておきたいのは、我々は当然クルマの開発から製造まで行っていますが、それをただのビジネスのためにやっているのでは決してありません。我々全員が地球に対して責任を持たなければいけないと強く考えています。昨今非常に多い自然災害や世界的なCO2レベルの高まりという危機的な状況がありますので、私たちは今だけでなく、子どもたちや孫、未来の世代のために責任ある行動をとるべきです。
これはメーカーだけでなく、みんなが責任感を等しく持って進めていくべきですね。ですので私はそういった意識を強く信条として持っているステランティスの一員として働けることを非常に誇りに思っていますし、我々が住む地球という星のためにいかに貢献できるかを考えて事業活動を進めていきます。
既存エンジンのeフューエル対応も検討中
──欧州委員会がこれまではEVのみという方針だったのが、eフューエル(合成燃料)は認めると方向転換しました。それを踏まえてステランティスは今後どのように動いていくことが予想されますか。
ステランティスの中では2014年から2029年までに28のエンジンファミリーがあるのですが、それら全てについて、どれだけeフューエル対応ができるのか検討を始めています。やはりガソリンだけだと当然問題はありますし、企業戦略としてカーボンニュートラルを目指すことに一切変わりはありません。とはいってもICE(内燃機関)のクルマをeフューエル対応とできるのであれば、そのパワートレインを使ったクルマであってもかなりのCO2削減になると思います。
およそ3000万台ほどステランティスのクルマが走っていますので、これらがeフューエル対応できるとなったら、90%くらいのCO2削減になると思います。私個人としても、そういった取り組みをちゃんとしている会社のクルマを買いたいと思います。