不良の美学をつきつめた1台
世の中には常識をはるかに超える突き抜けたカスタムを目指す者達がいる。今回はそんなディープな世界にハマり、頂点を極めるべく製作した18「クラウン」(ゼロクラウン)ベースのカスタムカーを紹介しよう。このクルマはひと言でいってしまえば「不良の美学」というべきか。こだわったのはより低く、さらに低くという究極のローダウンスタイルだった。
セルシオのV8をクラウンに搭載
王道には一切興味なし。そう感じさせてくれたのがシャコタンっぷりがハンパない18クラウンを駆る“キヨマサ”さんの愛車だ。見た目の凄さに目を奪われがちだが、よく見てみるとエンジンをスワップし、30「セルシオ」後期のV8ユニット3UZを搭載させているから只者ではない。
当然だが、いくら同じトヨタのセダンといえどもエンジンが違えば、マウント位置も変わる。また、トランスミッションもそのままというわけにはいかない。様々な問題が発生するするが、“キヨマサ”さんはどうしてもV8エンジンを搭載させたかったという理由で大幅の加工を加えた。
その内容はエンジン、トランスミッション、コンピュータを含めた電装系の移植に加え、プロペラシャフトのショート化、さらにデフケースはクラウン用を使って中身はセルシオ用に交換する手法も取り入れた。
これだけ大幅な加工を加えればその費用もかさむが、パーツは中古部品を探し、加工や取り付けは自らの手で行ったので、実際にかかった費用は、パーツ代くらいだったそうだ。
普通に考えたら、絶対に行わない特殊エンジンスワップだが、“キヨマサ”さんがスーパープライベーターと呼べるような高いスキルと知識を持っていたからこそ、実現したといっていいだろう。そして、そのスキルを持って挑んだ18クラウン(ゼロクラウン)のシャコタン化は、その作り込みが凄まじく、まさに創意工夫だらけだった。
シャコタンのまま走れなくては意味がない
目指したテーマは、誰にも負けないはシャコタン化なので、それに向けて容赦せずに18クラウンのフロアをカットして前後メンバーを10センチ以上持ち上げられるように加工。そのままでは干渉してしまうミッションホールも一部を切断して車高をより落とせるように下回りから作り込んでいった。
また、大口径のホイールをフェンダーに被せた状態にするため、サスペンションの取り付け位置も大幅に変更。エンジンルームの写真を見てもらうとわかるが、アッパーマウントの位置がより内側に入り込んでいるわかる。このマウント位置に加え、アームも調整式を組むことで、よりキツイ角度でキャンバーを付け、タイヤ&ホイールを思いっきり寝かせた状態でフェンダー内に収まるようにハの字スタイルをキープさせている。
よくありがちなショーモデルとして、「置き」だけのスタイルと思いがちだが、下回りも含めて干渉する箇所はすべて持ち上げているので、実はそのまま走ることが可能だ。
「本当にシャコタンにこだわるなら、そのスタイルのまま走れなくては意味がない。チックやルックじゃキマらない」とは、“キヨマサ”さんの言葉だ。
ガラスが割れそうなほどの重低音
また、エンジンスワップ、サスペンション以外に力を入れたポイントはオーディオとのことで、アンプ、スピーカーを含めて強烈な重低音を響かせるブラジル製のタランプスをセット。このアンプの出力が、えげつないほど凄まじく、クルマが揺れるほどの音圧で、ガラスがビビって割れそうになるほど鳴り響くということだった。
ただ、やっかいな点もあって、音質とパワーは大満足だが、耐久性に難ありで、よく壊れてしまい、アンプだけで約10万円もするので痛い出費になるそうだ。
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“キヨマサ”さんは「車高短興業」というチームに所属している。ここのメンバーはとにかくシャコタンにこだわってクルマを作り込んでいる。その中で互いに刺激しながら、創意工夫によって改造を楽しでいるとのこと。その中で誕生した走れる究極のシャコタンスタイルが、ここで紹介したクラウンだったというわけだ。