岐阜の「花街道つけち昭和モーターショー」に出現したアメリカン・パトカー
2023年4月29日、昭和の日に岐阜県中津川市で開催された「花街道つけち昭和モーターショー」。昭和に生産・登録された150台もの旧車が集合した中でも、アメリカンなパトカー仕様で目立っていたフォード「グラントリノ」のオーナーに話を聞いてみたところ、映画で実際に使われていた劇中車でした。
映画版『刑事スタスキー&ハッチ』の劇中車
1975年~79年に放映されていた、アメリカのTVドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』。TV放映終了から四半世紀後の2004年に映画化されており、その映画の中で実際に使用されていた1974年式フォード グラントリノそのものに乗ってイベントに参加していたのが、オーナーの下出彰彦さんだ。
劇中車が好きな下出さんはいろいろとアンテナを張っていたそうだが、3年ほど前にオハイオ州の劇中車コレクターが手放すとの話を現地のシッパー経由で聞き、すぐに押さえて日本に輸入したという。
「劇中で6台使って、2台しかこの世に残っていないと聞いてます。そのうちの1台で、エンジンは408cu.in.(6700cc)のハイパフォーマンスエンジンに載せ替えてあります。劇中で白煙を上げるシーンがあるんですけど、多分このクルマなんですよ。映画の後はドラッグレースでも使われていたみたいですね。エンジンは調子よくて、アクセルを踏むとシートに身体が食い込みます」
イベント展示用の赤色灯と警察無線を自身でセット
日本国内に入ってきてからは、ホイールが少しくすんでいたため同じタイプのものに交換し、劇中でアクションのために上げられていたフロントの車高をすこしだけ下げ、タコメーターの追加やエアコンを置換するなどの変更が行われているが、基本的には日本に入ってきた状態のままをキープしている。ただし、下出さんはこのクルマに、自身のこだわりの演出を加えている。
「赤色灯は日本に来てから、オーダーで作らせたんですよ。安いプラスチックのリングのものもあるんですけど、受注生産でオーダーしてから作ってもらうものにしています。悪用する人もいるので、何に使うか言わないと作ってくれないんですよ。あと、1960年代に使われていたアメリカの本物の警察無線も置いてあります」
クルマと一緒に展示されていたこの個体のことを紹介している新聞は購入時に付いてきたものだそうだが、レプリカの銃や革ジャン&セーターなどのアイテムは、このクルマを手に入れてから集めたものだという。今後に関しては、ヘタったエンジンマウントなどの整備をしたいそうだ。
次なる夢はインターセプター
ところで下出さんはもともと劇中車が大好きで、このクルマの他にも映画『トランザム7000』仕様の「トランザム」、『ワイルド・スピード』のドム仕様の「チャージャー」も所有しているとのこと。となると、次に狙っている劇中車もあるのだろうか。
「『マッドマックス』のインターセプターが欲しいです(笑)。でも本物があるないっていうよりは、作った方が早いかもしれないですね。誰かベース車を譲ってくれる人がいたらいいんですけど」
本物の劇中車を手に入れて満足しているという下出さんだが、劇中車好きの夢はとどまることをしらないようだ。