ゴルフやGTIの電動化は、アイデンティティを真に反映できてから
──電動化時代におけるファントゥドライブについては、どのように考えますか?
私たちは、BEVもICEと同じで、運転する楽しさはとても重要だと考えています。先日新しい「ポロGTI」を発表したばかりですが、今後GTIのコンセプトはゴルフでも継続していきます。2024年には、(本社のある)ヴォルフスブルクでGTIライフスタイルをフィーチャーした大きなイベントを実施する予定です。最近、ポロGTIの運転する楽しさを伝えるソーシャル・メディア活動を行ったところ、みんな大喜びでした。たくさんのお客さまが、「これこそ、VWの象徴だ」と言ってくださいました。ですから私たちはこのファントゥドライブをさらに強調していきます。
──BEVになってもGTIは残るのでしょうか?
もちろんGTIは非常に重要であり、将来的に非常に明確な方向性を持っています。しかし、電動化については非常にいいアイデアがありますが、どうするのかについてはまだ時期尚早でお話しできません。当面はICEになりますが、GTIやRモデルについても、よりエモーショナルなものという位置づけで続いていきます。
──ではゴルフはどうなるのでしょうか?
ゴルフは残ります。VWといえばゴルフであり、ゴルフといえばVWともいえる代名詞です。もちろん、日本ではSUVの需要が非常に高まっており、「ティグアン」も人気の製品であることを認識する必要があります。私たちの戦略は、アイコン的な製品を維持しながら、将来的に電動化されたポートフォリオにうまく移行していくことです。
それを端的に表しているのが、アイコンを電動化した「ID. Buzz」です。私たちはアイコンと呼ぶ以上は、ブランドの遺産を継承しつつ、そして未来の価値にこたえられるものでなければならないという明確な基準を設けています。ゴルフのアイデンティティを真に反映した製品が完成してはじめて、私たちは電動ゴルフを発表するのです。それまでゴルフは電動化しません。
日本市場においては、来年末に次期型ゴルフを発表する予定です。ICEパーフェクション戦略の一環として、GTIも新たに追加し、次の時代へつなげることを約束します。ゴルフの電動化はその先の話になると思います。
また来年には、ティグアンも「パサート」も、同時にRラインなどのエモーショナルなモデルもアップデートします。これは私たちの戦略の一部であり、日本市場においては当面、ICEのポートフォリオのほうにバランスを置いていくことになります。
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フォルクスワーゲン ジャパンが現在導入しているBEVは「ID.4」のみ。ID. Buzzが2024年末に国内導入予定というが、それ以外はまだ聞こえてこない。「ICEパーフェクション」はもちろん重要だが、ID.2 allなど「BEVトランスフォーメーション」にも期待したい。