「富士24時間レース」と併催された「ロードスターカップ」第2戦
2023年5月26日(金)~28日(日)にかけて、富士スピードウェイにおいて「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2023 第2戦 NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース」が行われた。筆者はここで公式戦レースデビュー……といってもメインイベントのスーパー耐久ではなく、前座レースとして行われた「ロードスターカップ」第2戦にエントリーした。eスポーツを使った事前シミュレーションから当日の様子に至るまでをレポートする。
eスポーツのシミュレーターで事前練習
今回エントリーしたのは富士チャンピオンレースシリーズのロードスターカップの、1.5チャレンジと呼ばれるクラス。スポーツランドSUGOや筑波サーキット、岡山国際サーキットなどで行われているロードスター・パーティレースと同じ車両で争われるカテゴリーで、車両は基本的にほぼノーマルに近い。
そして今回はスーパー耐久で65号車「odula TONE 制動屋ロードスター」をドライブする丹羽英司選手からマシンをお借りした。丹羽選手は自身が参戦するだけでなく、NIWA RACINGと称してチーム員を集めてのマツ耐参戦やシミュレーター(eスポーツ)での定期的な練習会やシミュレーションレースを行っている。
今回はレース前に、NIWA RACINGで行っているシミュレーションレースに参加させていただいた。筆者は富士スピードウェイを走ったことは何度もあるが、ドライコンディションのNDロードスターで走行したことはない。事前にシミュレーターで走行することにより、コーナーごとのギアセレクトや進入速度、ブレーキングポイントといった「目安」を事前に知っておけるのはとてもありがたい。
また、オンラインでのシミュレーションレースでスタート練習ができるのも嬉しいポイント。通常のスポーツ走行ではスタート練習はできないし、キープする回転数やゼロスタートからの1コーナー進入などの感覚を養うことができる。
クラス20台中11番手スタートなら上々!?
こうした練習をした後にレースウィークの木曜日に30分の練習走行を3本行った。事前にシミュレーターで練習したため、ブレーキングポイントやライン取り、ギアセレクトなどはある程度練度があるポイントからスタートできたのが実感できた。ロガーも見直しつつ、1セッションごとに約コンマ5秒更新して、最終的に2分17秒7というタイムとなった。
このイメージを持ったまま土曜日午前の予選に挑んだが、予選では速いクラスも混走となるため、なかなかクリアラップを取るのが難しく、実戦経験の無さを実感した。ベストな状態ではなかったが、「ある程度のタイムをとりあえず出しておこう」と思い、序盤に2分18秒8を記録。タイム更新を狙って何度かアタックを実施し、最終の計測ラップでクリアラップを確保できたが、若干ミスが出てしまいタイム更新には至らず。クラス20台中11番手でのスタートとなった。
スターティンググリッドで気分はMAX! しかし戦いは冷静に……
そして迎えた決勝。スターティンググリッドでは丹羽選手をはじめ、お手伝いをお願いした大学の後輩の秋元君、そして多くの友人や知人が応援に駆けつけてくれた。これだけでなんだかうれしい。また、丹羽選手がスーパー耐久で所属しているチーム「OVER DRIVE」のレースクイーンである鐘海結衣さんと“めぇめぇ”さんにグリッドで傘をさしていただいた。これも気分がアガる。
しかし、スタートは冷静にいかなければならない。オープニングラップの1コーナーは、最も順位を上げるチャンスではあるが、最もアクシデントが起こりやすい場所でもある。自身がミスをしなくても他車からの接触というリスクも高い。そのため1コーナーは冷静かつ慎重に行くと決めていたのだ。
そしてスタート! って慎重に行きすぎたかも?
フォーメーションラップを終え、レッドシグナルが消え、スタート! スタート自体はまぁまぁ……な感触で1コーナーへ。他車からの接触を恐れたイン側スタートの筆者はインベタのラインのまま1コーナーへ向かう。クラスのほぼ真ん中という前にも後ろにもクルマがいっぱいの状況、前の混戦がどうなるか分からないので早めの減速で1コーナーへ……すると数台に抜かれ……簡単に言えば、オープニングラップの1コーナー、慎重に行き過ぎました(汗)。結果、ポジションを2~3つほど落としてオープニングラップを終える。
その後は前を行くマシンとの距離を詰めながら「どこで抜けるか?」を考えながら走行。レース前半の1コーナーのブレーキングで1台オーバーテイクし、さらに前を行くマシンとの差を詰めようと猛追。そしてレース中盤からは激しい12番手争いを展開! 自身の方が確実に速いポイントを考え、オーバーテイクのポイントを探る。
そしてアドバンヘアピンのブレーキングでインにノーズを入れ、オーバーテイク。結構バトルが楽しめた。そして「もう少し周回数があればもう1台抜けるかも……」といったところでチェッカー。結果はクラス12位チェッカーの、上位で1台失格があり、クラス順位11位となった。
レース後は中盤でバトルをした選手に声を掛けられ、お互いに「いいバトルが楽しめました」と挨拶。モータースポーツが紳士のスポーツであることを改めて実感したときなのだった。
悔しい振り返りがあるからこそ次が楽しみになる
レースを振り返れば、予選で上手くクリアラップをまとめれれば……スタートで慎重になりすぎなければ……決勝後半でタイヤの熱ダレをもっとコントロールできれば……と反省することだらけ。「あれができていれば」があるからこそ次戦も出たいと思ってしまう。改めてモータースポーツの楽しさと難しさを肌で実感した。
スケジュールの都合で第3戦のロードスターカップへの参戦は難しそうだが、第4戦は現在のところ参戦できそうなので、また参戦しようかと計画中。
最後に、丹羽選手をはじめ、ご協力していただいた皆さん。応援してくださった皆さん。一緒に戦った方々。この場をお借りしてお礼を申し上げたいです。ありがとうございました!