職人の手によって丁寧に作られる
今回発表されたCタイプ、Dタイプのコンティニュエーション・モデルは、ジャガー・ランドローバー社のクラシック部門であり、伝統のコベントリー工場に本拠を構えるジャガー・クラシックが、1台あたり3000時間以上を費やしてハンドメイドする台数限定の再生産車だ。
新車製作当時に使用された機械製図と最新のCAD技術を応用して再設計し、ジャガー・クラシックで手作りされるそれは、デビューの報が届いてから世界の熱狂的なジャガー・ファンを興奮の渦に巻き込んだ。製作上特筆すべきは搭載されるXKエンジンで、これには熟練したクラフトマンでも完成までに約9カ月の時間が必要だという。
Dタイプには、さらなるストーリーがある。それは1957年2月12日の夜、XKSSの出荷を目前に控えていたジャガーのブラウンズ・レイン工場が火災の被害に見舞われ、製作中の多くのモデルが焼失してしまった史実に理由がある。
ジャガーは1955年に100台のCタイプとXKSSの生産を計画していたが、この火災により75台を生産したのみで中止。残りの25台を現代の最新技術で再現しようというプロジェクトでもあるのだ。ボディは1955年仕様のショートノーズ、もしくは1956年仕様のロングノーズから選択することが可能で、16色のヘリテージカラーと9色のインテリアカラーを選ぶことができる。
今回そのプロモーションを目的に、ともに日本に上陸を果たしたCタイプとDタイプのコンティニュエーション・モデル。ジャガー・ランドローバー・ジャパン社からは、同乗なら可能との条件で試乗会を開催するというインフォメーションをもらっていたのだが、いざ現地へ行くと同乗走行の後に、自分自身でそのステアリグを握ることも許されるという。1950年代のル・マン・ウィナーの走りとどのようなものなのか。いつもとはかなり違う緊張感を抱きながら、そのコックピットへと収まった。その模様は追ってレポートする。