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バブル期を席巻した「シーマ現象」!「自動車電話」も備えたハイテク高級車は2代目が最高でした【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

「きっと、新しいビッグ・カーの時代がくる。」

初代「シーマ」が登場した1988年前後に登場した日産車は、いずれもメッセージ色の濃厚なコピーを伴ってデビューしていた。いわく「スポーツカーに乗ろうと思う」(フェアレディZ)、「スポーツカーの次に来るもの」(アベニール)等々……。その中で冒頭に掲げた初代シーマでも使われたこのコピーは、ご記憶の方も多いと思うが、翌年登場のトヨタ初代「セルシオ」をも包括的に表現していたのだとしたら、今にして思えばなかなかなものだった。

Y31セドリック/グロリアの最上級モデルとして誕生

初代シーマの型式はFPY31型といい、末尾3桁の「Y31」でもわかるように、グランツーリスモを登場させてイケイケだった当時の「セドリック/グロリア」をベースに開発された。というよりも、当初の位置づけはセドリック/グロリアの最上級車種とし、車名も正式には「セドリック・シーマ」「グロリア・シーマ」といい、カタログの表記をはじめ、実車の車名エンブレムも「CIMA」とある下に小さく「CEDRIC」「GLORIA」のロゴが添えられていた。

実車はY31をベースに仕立てられた。2735mmのホイールベースはY31と共通で、フロントがマクファーソンストラット、リアがセミトレーリングアームのサスペンション形式も同じ。だだしフロントはストラットが左右で25mmずつ外側に広げられ、リアもアクスルシャフトを30mmずつ延長。その結果、トレッドはフロント=1500mm、リア=1520mm(最上級のタイプIIリミテッド)と、当時の国産車としては堂々としたものに。全長4890mm×全幅1770mm×全高1380mm(または1400mm)のスリーサイズのボディはもちろんシーマ専用だ。

ここで筆者個人のフィルターをかけさせていただくと「ピラーレスの4ドアハードトップかぁ……」の気持ちは持ったが、それだけ日本のユーザーを前提にしたクルマであったことは頭で理解した。

ハイテク装備とパワフルな走りを贅沢に盛りこんだバブルの申し子

日本車ということでは装備に関して、ドアミラーワイパー、ハンドフリー自動車電話や、光通信を用いたステアリングスイッチ(オーディオ、エアコン、ASCD)などが自慢のポイント(!)に。今ならタッチパネルでひとまとめにするところだが、スイッチがビッシリと並ぶ光景は壮観ですらある。昔のホームオーディオのプリメインアンプにスイッチがズラリと並んでいると嬉しかった世代には感激だったことだろう。

カタログにはオプションも紹介されており、最上級のタイプIIリミテッドに「スーパーセレクション」を追加すれば、さらに運転席マイコンパワーシート、後席ヒーターシート、モイスチャーコントロール、JBLスピーカー、カードエントリーシステムほかの装備がプラスされた。

もちろん感激といえば、パフォーマンスもそうだ。搭載されるパワーユニットは3LのV6ツインカム24バルブで、これのターボ(VG30DET型)とノンターボ(VG30DE型)を設定。とくにターボは255ps/35.0kgmと、「国産最高峰」とカタログにもうたわれるスペックを発揮していた。それゆえにこのスペックに惹きつけられたユーザーは決して少なくなく、その「速さ」は高級車シーマのもうひとつの魅力なのだった。そのアクセルをグイと踏み込むやいなやテールを沈めて猛然と加速体勢に入る様は筆者も一応は体験済みで、「何というクルマが出てきたものだ」と感銘を覚えた記憶が今でも残っている。

国産車で500万円を超える価格も話題を集めた。シーマ現象……まさにバブル期の申し子といえるクルマだった。

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