個性的なカラーリングのポルシェ911が登場した理由とは
2023年3月22日〜4月2日に開催されたバンコクモーターショーのポルシェブースに、なにやら派手な七色に塗られたポルシェが誇らしげに展示されていた。一見すると、単に派手なカラーリングを施した911? なのだが、調べてみるとこのクルマは「ポルシェ911カレラGTS 30イヤーズ ポルシェ タイランド エディション」のインスピレーションカーといえるワンオフモデルだった。
タイではそれぞれの色に大事な意味が込められていた
ポルシェは、タイにおける販売30周年を記念して911カレラGTS 30イヤーズ ポルシェ タイランド エディションを発売。ポルシェ911カレラGTSベースの7色が用意された。それを1台で表したのがインスピレーションカーというわけだ。
では、なぜ7色なのかというと、タイの曜日も日本と同じように日、月、火、水、木、金、土が使われているが、タイでは暦にサンスクリット語の影響を多く受けている。曜日にはそれぞれ太陽と月と5星を表す神様が紐づけられていて、それぞれに色を持つ。
日曜日は、太陽神スーリヤで「赤」
月曜日は、月の神チャンドラで「黄」
火曜日は、火星の神マンガラで「ピンク」
水曜日は、水星の神ブダで「緑」
木曜日は、木星の神ブリハスパティで「オレンジ」
金曜日は、金星の神シュクラで「青」
土曜日は、土星の神シャニで「紫」
なぜ7柱の神様がそれぞれに色が結びついているのかは不明だが、ともかくタイではこの7色が1週間を表す特別な色となっている。
ちなみに日本には7福神という7柱の神様がいるが曜日との関連性はないようだ。タイでは出生届けに生年月日と時間のほかに曜日、太陰暦の日付、干支が記録されている。そして自分の誕生日の曜日の色がラッキーカラーになるのだそう。そのため曜日と色をとても大切に考えている。
30周年記念モデルとして限定生産された911カレラGTSのカラーもまさにこの黄、ピンク、緑、オレンジ、青、紫、赤の7色で、1週間のラッキーカラー。つまりオーナーのラッキーカラーの911ということなのだ。
そしてショーに展示されていた911は、限定車として用意された月、火、水、木、金、土、日を表す7色を1台にまとめたワンオフモデルだったというわけだ。しかし、そんなふうに自分専用色ともいえるラッキーカラーを用意されてしまうと、自分にとって特別な色の911が欲しくなってしまう。