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80年代のスバル「ドミンゴ」のパッケージがいま欲しい! 国産初の「7人乗り」1リッターワンボックスワゴンでした【カタログは語る】

ベースとなったサンバー トライ

リッタカークラスのワンボックスでは唯一の存在だった

「スバル ドミンゴはどうでしょう?」 と編集部からなかなか渋いリクエストをいただいた。早速、2004年7月に発行された『富士重工業50年史』の資料編を引っ張り出して改めて調べてみると、(当然のことだが)載っていた。

国産初の7人乗り1Lワンボックスワゴンとして開発

同書のドミンゴの箇所にはコンパクトな年表も載っていたので転記しておくと、

1983年10月 発売
1986年6月 1.2L発売
1986年8月 GX発売(フルタイム4WD)
1988年2月 フルタイムフリーランニング式4WD発売
1994年6月 フルモデルチェンジ実施
1996年4月 アラジン発売

とあった。ちなみに国内販売台数は11万8029台、国内生産台数は17万8317台。車名の由来はスペイン語で「日曜日」の意。「楽しい日曜日のための車」の意を込めたネーミングとも書かれている。

このドミンゴだが、「国産初の7人乗り1Lワンボックスワゴン」として企画されたクルマだった。冒頭で「なかなか渋い」などとドミンゴに失礼な表現をしてしまったが、クルマとしては、当時のリッターカークラスのワンボックスワゴンでは唯一の存在として、なかなかどころか、かなり貴重なクルマでもあった。

サンバー トライをベースに作られたドミンゴ

クルマの成り立ちそのものは、当時の軽ワンボックスワゴンの「サンバー トライ」をベースに作られたモデル。参考までにドミンゴとサンバートライの足まわりのスペックを比べてみると、ホイールベースは1805mmと同じで、トレッドもドミンゴが4WD車/2WD車共通で前後とも1210mmなのに対し、サンバートライは4WD車で前後とも1205mm、2WD車で前後とも1215mm。タイヤがラジアルかクロスプライかの違いなどはあるものの、基本的には共通となっている。

搭載エンジンは水冷直列3気筒1L(997cc)の新開発ユニットEF10型。4サイクルのバランサーシャフト付きSOHCは、軽量コンパクトで静粛性が高く低燃費が特徴となっており、翌年登場の「ジャスティ」にも搭載された。もちろん56ps/8.5kgmの動力性能は軽のサンバー トライ(28ps/4.3kgm)に対してほぼ倍のアドバンテージがあったことはいうまでもない。またサンバー トライ同様のリアにエンジンを搭載する車両レイアウトを採用していた点も見逃せない。

ハイルーフを採用する外観スタイルは、ドミンゴはフロントセクションと前後バンパーのストローク方向のサイズを増すなどし、軽自動車規格のサンバー トライに対し全長は215mm長い3410mmの設定。全幅はサイドモールの厚み分がプラスされ1430mmに。全高(サンルーフ付きで1900mm)はほぼ変わらずといったところだ。

車中泊からトランスポーターまで「使える」クルマだった

もちろん最大の売りだった7人乗りが可能という点と、そのことによる実用性の高さをフルに生かした使い勝手のよさは魅力だった。カタログにも「ウルトラバリエーションシート」とのうたい写真で紹介しているが、当時、ひとクラス上のワンボックスワゴンにもヒケを取らない展開だ。

なかでも「フロント回転対座シート」はセカンドシートの背もたれを前倒しにしてテーブルとして使うパターン。さらにフロントシートを対座にしたままセカンドシート〜サードシートまでを寝かせたフルフラット状態、またはサードシートを前方にチップアップさせて4名+ラゲッジスペースとした状態など。

ドミンゴの場合はボディはハイルーフが標準だったため、頭上空間にはゆとりがあった。そのうえで多彩なシートアレンジを活用すれば、今でいう車中泊も何なくこなせ、トランスポーターとしてなら7人が乗れるわけだから、じつに「使える」クルマだったのである。

なおこのドミンゴが登場したのは筆者がまだ駆け出しの編集者だった頃。とあるRV誌の取材で富士山麓あたりにロケに出かけた記憶があるが、そのときにかなりのダート路で実際の「走り」の撮影をしたのだった。もちろん参加スタッフで7名フル乗車状態を再現しての走りの撮影で、駆け出しの筆者はたしか自ら進んでサードシート(それも3人がけの中央)に乗り込んだ。

ドライバーはその記事のレポーター氏で、運転にはまったく心配は要らなかったが、ダート路を走るドミンゴのサードシートで、頭と身体を前後左右上下にたいそう揺さぶられながら「まあ7人が乗れるクルマではあるけど……」と複雑な思いで撮影が早く終わるのを祈った経験がある。

カメラマンからの要請でみんな楽しそうな表情をするように……とのことになり、記憶が正しければ当時のTVCMの演出を真似て「ドミンゴ、ドミンゴ!」と掛け声を上げ、そのちょっと引きつった顔が当時の某RV誌の誌面に載ったような気がする。

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