クルマ好きなら心なびく透視図も掲載されていた
ここで話は一気に現代(?)へ。サンバーは現在もSUBARUの現行車の中の1台として商品ラインナップに並ぶ。その意味では、同社にとってもっとも長く続く銘柄でもある。
だが、クルマ自体が自社生産だったのは、2012年2月に生産が終了した通算6代目まで。7代目からはご承知のとおりダイハツ「ハイゼットトラック」のOEMとなり、そのまま2014年に8代目にバトンタッチし、現在に至っている。
ちなみに自社生産終了の直前、2011年7月には、「WR BLUE LIMITED」がバンのディアスとともにトラックでも発売された。このモデルは専用ボディカラーのWRブルー・マイカをまとい、イエローステッチの専用シートを採用するなどした発売50周年記念特別仕様車。トラックとバンで1000台という限定車だったが、仕様からしてコアなスバル・マニアが飛びついただろうから、今でもお目にかかることがあるかもしれない。
今回、写真で紹介しているカタログは、自社生産最終型となった6代目(1999〜2012年)の中盤、2008年7月のサンバー・トラックとサンバー・バンのもの。このときにトラックではTCハイルーフにメッキの加飾付きのフロントグリルが与えられたほか、装備の充実や、ボディ色にスターリングシルバーメタリックが追加設定されるなどしている。
もちろんサンバーの車名とともに受け継がれた基本構造も、この世代までは健在だった。「フルキャブ・リアエンジン」による運転席の広さや安定した走行性能、ホイールハウスの張り出しのないスッキリとした荷台などはカタログでも紹介されている。さらに4気筒エンジンを搭載し、それらが運転席から離れていることによる騒音の少なさ、4輪独立サスペンションによる快適な乗り心地と、壊れ物や荷崩れに対する安心感といったことも紹介されている。
運転席にはホイールハウスの張り出しがなく、一般的な軽トラックのように中央に寄せられたペダルに合わせ、身体を斜めにして着座する必要もなく、サイドウォークスルーも自由に行える。リアエンジンの説明には「下り坂のブレーキも安心」「空荷でも後輪が空転しにくい」といった説明も。カタログにはシャシー/フレーム構造が判る透視図と写真も載っており、クルマ好きなら心なびかれるに違いない。
また写真のカタログの諸元表にも載っているが、軽トラにしてスーパーチャージャーの設定もあり、4気筒のEGI仕様で58ps/7.5kgmの性能も発揮した。「農道のポルシェ」とも言われたサンバーは、スバルのこだわりのエンジニアリングがあってこそのクルマだった。