日本人2名はともに順調に走行を開始
2023年101回目を数えるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(通称:パイクスピーク)は、6月20日(火)から公式スケジュールがスタートした。例年通り、パイクスピークのふもとの町であるコロラドスプリングスの「ブロードモア・ワールド・アリーナ」の駐車場には、朝から参戦車両が集結。恒例の公開車検が行われ、参戦するすべての車両が車検を受けにやってきた。
831(やさい)号、無事に車検通過
コロラド州にあるパイクスピークを舞台に行われているパイクピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、この山を誰が一番速く登るかを競うヒルクライム・レース。世界で最も歴史があると言われているインディアナポリス500マイルレースに続き、世界で2番目に古いレースでもあり、その初開催は1916年という。
競技区間は、スタート地点で標高2862m。ゴール地点はパイクスピークの山頂となる標高4302mとなっており、空気の薄い高地をどんどん登っていく。コースを進んでいくほどに酸素が薄くなり、車両はその出力が30%も低下すると言われている。競技区間の約20kmには156カ所のコーナーがあり、その路面はダートだと思われがちだが、現在は全面アスファルト敷きとなっている。
今回、伝統のヒルクライムレースに日本人2名が参戦する。#831トヨタ「スターレット」(1990年式)でパイクスピーク・オープンクラスに参戦する八木敏史選手は、初挑戦ということでルーキー扱いとなる。ルーキーオリエンテーションも受けて車検も通過し、無事に第一段階をクリアすることとなった。
また、LA在住の日本人ドライバー、吉原大二郎(Dai)選手も今回のマシン、ENEOSのカラーリングが施されたEvasive Motorsportsのホンダ「S2000」(2005年式)を持ち込み、車検を通過させている。ちなみに吉原選手も八木選手と同じパイクスピーク・オープンクラスに参戦する。
クラスの中で最も静かな一台?
6月25日(日)の決勝前に練習走行の時間が設けられている。20日(火)からの3日間、1日3時間ほどの練習走行では、コースをアッパー/ミドル/ロアの3つに分割し、エントラントもクラスごとに3つのグループに分けられ、それぞれのグループが順に3分割のコースを3日間に分けて走行するというカタチだ。そのロア・セクションの走行タイムがそのまま予選タイムとなる。
23日(金)はオプション日で、火曜日と同じセクションを再度走行することができる。その日の夕方から地元コロラドスプリングスのダウンタウンではファンフェスタが行われ、完全な休息日となる土曜日を間に挟み、日曜日の朝から決勝走行が開始されることとなる。
パイクスピーク・オープンクラスは練習走行の組分けとして、初日の20日にアッパーセクション、2日目の21日に予選タイムを残すこととなるロアセクション、そして3日目がミドルセクションの走行となる。
プラクティス初日のアッパーセクションから走行を開始したわけだが、この日のアッパーセクションは、風速10m以上の吹雪が吹き荒れ、気温は2~3℃という厳しい状況。富士山山頂とほぼ同じアッパーセクションのスタート地点となるデビルズ・プレイグラウンド周辺もしっかりと雪が残った状態で、ゴールのチェッカーラインの先には凍った個所もあることから事前にコーションが出されるほど。
それでも、無事に3本の走行を終え、八木選手は3分57秒90のタイム、今年で5回目の挑戦となる吉原選手は3分4秒05のタイムを記録し、まずは無事に走行を終えた。この日のアッパーセクションでのトップタイムは、現在パイクスピークのコースレコード保持者であるロマン・デュマ選手が出した2分24秒73(#4フォード・パフォーマンス・スーパーバン4)であった。
初めての走行を終えて、八木選手は次のようにコメント。
「ここ(アンリミテッドクラスおよびパイクスピークオープンクラス)では私のクルマが一番静かで、おとなしいですね。(初めて実際に走るコースは)言葉ではなかなか説明できませんが、すごいコースでした。 走った感じは意外と日本の道とも似てるようなところもありますが、ガードレールのない崖下を眺めながら走るコースはビビりますね」
ちなみにこの日、ロアセクションを走行し予選タイムを残したグループ(タイムアタック1およびパイクスピークトロフィクラス)でのトップタイムは、デビッド・ドナヒュー選手(#59ポルシェ GT2 RS クラブスポーツ/2019年式)がタイムアタック1クラスの予選記録を更新する3分53秒618を記録し、自己記録も更新した。まずは、このタイムがターゲットタイムとなる。