クラシックカーラリーに参加する数少ない国産車
国産車初のスペシャリティカーである初代トヨタ「セリカ」は1970年にデビューした。クルマ好きにはダルマもしくはTA22型と書いたほうが、スポーティなエクステリアデザインをイメージしやすいかもしれない。いま見ても驚くほどカッコいい「ダルマセリカ」は、2023年のクルマ社会の中においても数多くのオーナーを楽しませている。
オーナーはTOM’Sのスタッフでした
去る2023年5月19日~21日の3日間にわたって開催された「クラシックジャパンラリー2023 横浜 Y164」に愛車の1975年式セリカ1600GTで参戦した吉川和浩さん(52歳)。車検と受付が横浜の山下ふ頭 4号上屋倉庫で行われ、スタートセレモニーの場所は横浜元町ショッピングストリート。われわれは出走する前の吉川さんにお話を伺ってきた。
「このセリカ1600GTは、ちょうど2年前に買いました。現在の走行距離は6万km。コ・ドライバーは高木直彦さんで、彼は54歳です。私の以前の愛車は、1963年式のオースチン ヒーレー3000やポルシェ356Bでした。現在は991型のポルシェ911も愛用しています。近日中に356を増車予定です」
過去および現在の愛車と今後の購入予定から判断すると熱烈な輸入車好きにしか思えないが、じつは吉川さんはトヨタのオフィシャルチューナーとして世界的に有名な「TOM’S」のスタッフなのだ。1974年の設立以降、TOM’Sは約半世紀にわたり、国内はもちろん、ル・マンをはじめとする海外のレースシーンでも活躍してきた。山下ふ頭で頂戴した名刺に記載されていた吉川さんの肩書きは、「TOM’S CLASSIC/クラシックカーラリードライバー」。なんともステキな、まさに夢のような役職であった。
TOM’Sヒストリーのリスペクトとしてセリカを購入
「セリカ1600GTは、弊社の取締役会長兼ファウンダーである舘 信秀さんがドライブし、1972年の日本GPで優勝したクルマなんですよ。そのヒストリーへのリスペクトがあって購入しました。こだわりのポイントは、TOM’S初のオリジナルホイールとして1978年にリリースされたトムスラリー、通称『井桁ホイール』を履いているところです。フジツボのタコ足、ファンネル、手曲げステンレスマフラー、ストラットタワーバー、カヤバ製ショックも装備しています」
愛車にまつわる一番思い出深いエピソードは「クラシックカーラリーで友人やクルマと過ごす楽しい時間」だと話してくれた吉川さんは、ラリーの参加歴は20回弱とのことで、今後PC競技は練習が必要と話す。この秋に行われる「マロニエ・オートストーリー」と「コッパ デッレ アウトストリケ」にも出場するようだ。
「2019年9月に開催されたクラシックジャパンラリー2019 ルート134に参戦し、横須賀市、三浦市、葉山町および周辺地域を走ったときに楽しかったので、今回もクラシックジャパンラリーに出てみようと思いました」
国産旧車でクラシックカーラリーを楽しんでいるオーナーは貴重な存在なので、ポルシェ356を増車してからもセリカ1600GTで参戦してくれることを期待している。