ボディカラーは愛車選びの大事な要素です
レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「ボディカラー」です。新型トヨタ「アルファード」は3色、「ヴェルファイア」は2色しか設定がありません。対して、中古車価格で下落が少ないのはイエローとのこと。ボディカラーのあれこれについて語ります。
新型アルファードのボディカラーはなんと3色のみ
新型アルファード/ヴェルファイアが発表されました。とても雰囲気があります。トヨタのデザインには、市場のハートを掴む公式があるようで、間違いなく売れるであろうと予感させます。
ひとつ興味深いことがありました。そのエクステリアデザインは秀逸ですが、ボディカラーの設定はたった3色なのです。
「プラチナホワイトパールマイカ」
「ブラック」
「プレシャスレオブロンド」
つまり、白と黒と茶色だけなのです(ヴェルファイアは白と黒のみ)。
たしかにアルファード/ヴェルファイアのキャラクターを考えれば、グリーンやイエローではないでしょう。この3色が揃っていれば、不満はないことは想像ができます。実際にこれまで街中でアルファード/ヴェルファイアを見てきた感覚で言えば、ほとんどが白か黒ですよね。「プレシャスレオブロンド」ですら、少数派になると思われます。日本人はボディカラーで目立つことには抵抗があるようで、日本の街には控えめなボディカラーがあふれているのです。
人気薄に見えてじつは中古車価格の下落が少ない「イエロー」
一方で、アメリカの自動車調査サイト「アイシーカーズ」が、中古車市場の価値のあるボディカラーのランキングを発表しました。3年落ちの中古車で、どのボディカラーの値落ちが少なかったのかを基準に選定。すると、もっとも高値で販売できたのは「イエロー」だったそうです。130万台もの中古車価格を集計すると、平均して22.5%下落するところ、イエローのクルマは13.5%に抑えられたそうです。イエローは人気なのですね。
じつは日産がZ33型「フェアレディZ」を発売した2002年当初、イエローの設定がありませんでした。それを不思議に感じた僕は、当時の開発責任者に、華やかなイエローの設定を提案しました。スポーツカーにはイエローは不可欠だと思っていたからです。実際にはイエローの販売比率は思うほど高くはなく、ごく一部の熱狂的なスポーツカーフリークが好むだけであり、塗料としては高価なこともあって、メーカーとしては設定に躊躇していたのです。ですが僕は、イメージとしては必要だと感じていました。
実際に、多くのスポーツカーにはイエローの設定があります。フェアレディZをはじめ、フェラーリ、コルベット、スイフトスポーツ、コペン……。
そんな理由からも、今回の調査で「もっとも人気があるカラーは?」という質問に対する回答でイエローが選ばれているわけですが、バイアスを抜いて表現するならば、イエローが好きな人はこだわりの強いマニアなので、「多少値が張っても買いたいよ〜」というユーザーなのだと想像します。イエローの人気があることは確かでしょうが、それは数としての優位性ではなく、属性として強いこだわり派が好んでいるということなのでしょう。
スポーツカーではないミニバンであるアルファード/ヴェルファイアにイエローの設定がなく、地味な3色の設定しかないことは間違いではありません。ただ、街中でイエローのスポーツカーを見かけたら、微笑ましく眺めてあげてほしいと思います。