優雅さを感じさせる流麗なデザインが特徴的だった
マツダが過去に複数の販売チャンネルを展開していたことはよく知られている。その中でも「オートザム」ブランドは「キャロル」や「スクラム」といった軽自動車に代表されるコンパクトなモデルと、ランチア/アウトビアンキブランドの輸入車を取り扱うという個性的な車両ラインナップとなっていた。
プレッソとは兄弟車だった
そしてオートザムブランドで販売される車種の一部は、オートザムを意味する「AZ」が付けられた車名を持っており(「AZ-ワゴン」や「AZ-1」など)、マツダブランドなどの車両との差別化を図っていたのだ。そんなAZシリーズの中で、最も大きなモデルとなったのが、1991年6月に登場した「AZ-3」である。
このAZ-3は5ナンバーサイズに収められたコンパクトなボディを持つ3ドアクーペとなっていた。同じタイミング(ただし登場はAZ-3の方が2週間ほど遅い)でユーノスブランドからリリースされた「プレッソ」とは兄弟車だった。
ただし、プレミアムブランドであるユーノスで販売するプレッソには、当時世界最小排気量のV6エンジンとしても話題となった1.8LのK8-ZE型エンジンが搭載されていた。それに対し、コンパクトカーが中心のオートザムブランドで販売されるAZ-3は、直列4気筒1.5LのB5-ZE型エンジンが搭載されるという差別化がなされていたのだった。
国産離れしたデザインが魅力的だった
エクステリアのデザインはコンパクトボディながら優雅さを感じさせる流麗なデザインとなっており、クーペらしく低く構えたフロントノーズに3次元曲面を用いた大型リアウインドウなど、国産車離れした雰囲気をまとっていた。
なおこのモデル、日本国外では「マツダ MX-3」として販売されており、ロードスターの輸出名である「MX-5」や、スペシャリティクーペの「MX-6」とともに、共通したイメージを持ち合わせたモデルとしてラインナップを形成していたのだった。
しかし日本国内ではコンパクトなクーペは縮小傾向にあり、デビューから2年ほど経過した1993年9月になると、AZ-3にもV6 1.8Lエンジンが、プレッソには直4 1.5Lエンジンがそれぞれ追加設定。AZ-3にも本革シート使用を追加するなど、両車の違いはほとんどない状態となっている。
ちなみにAZ-3/プレッソ用には当時のマツダスピードから、エアロパーツ類や足まわりにブレーキ、強化ブッシュや強化クラッチなどのチューニングパーツが豊富に用意されていたが、果たしてどのくらいの数が売れたのか気になるところだ。