世界最大の草レースを目一杯楽しむアマチュアレーサーの挑戦
ニュルブルクリンク24時間レース。それは世界最大の草レースと言われているレースです。プロも多く参戦していますが、多くのアマチュアレーサーも参戦しています。ニュルブルクリンクに魅了され12年も通い、2018年からは実際に24時間レースに参戦している日本人の思いを振り返ります。
「ニュル通い」歴12年、2018年からは「24時間レース」に参戦
ドイツで毎年開催されているニュルブルクリンク24時間レースといえば、世界の名だたるレースのひとつとして認識されています。2023年は5月20日~21日に第51回大会が開催され、エントリー台数は135台になりました。
135台の参加となると1ピットを4~6台がシェアします。ぎゅうぎゅうに押し込んだピット内ですが、お互いにリスペクトしあい、うまくスペースをやりくりしています。そんなピット内で1人の日本人レーサーを発見しました。小西隆詔さんです。2011年から12年にもわたってニュルに通っているアマチュアレーサーです。
小西さんは若かりしころ、山に通い峠を攻める走り屋でもありました。当時「ランエボ」をチューニングし、峠では敵なしの状態だったそう。そしてサーキットで行われるレースにも参戦し、それなりにタイトルなどを獲ったこともあったため、サポートをもらえプロになれるチャンスもあったそうです。しかしプロにはなりませんでした。
「プロになってしまうとそこのメーカーのクルマにしか乗れなくなる。いろいろなシガラミもできてしまい窮屈になってしまう。自分はクルマが好きなのでいろいろなクルマに乗ってみたい」
と頭によぎったそうです。アマチュアでいながらプロレーサーと互角、あるいはそれ以上の成績を残したときの爽快感などもあったそうです。それ以降ずっとアマチュアでレースに参戦しているのでした。
ニュルに恩返しをし、日本にも縁をつないでいきたい
ニュルに通うことは自分の夢を叶えるだけでなく、次につなげていく大事なことだと小西さんは言います。
「好きなことをやらせていただいている。好きなことをやり続けるというのは相当難しいことだと思います。ニュルに来てレースに出るという夢を叶えることもできました。しかし、来たら来たでまた次の夢が見えてくる。次へ、また次へと思っているなかで12年も、おかげさまでニュルに来ることができています。その中で、モータースポーツが好きな人、とくに若い世代の人につないでいく。そういうことも自分の中の夢にもなってきているんです。そのための道を作っていくのも、アマチュアだからできる大事なことだと思います」
こう語る小西さんのお仕事は、じつは住職です。檀家さんにも、海外ではこういうことが行われています、こういうコミュニケーションがあります、と伝えているそうです。
「ニュル24時間レースには2018年から、いろいろなチームから参戦させてもらっています。毎年チームが違い、一緒に乗るドライバーも違います。しかし今まで一緒に戦ってきたドライバーやチームとは今でもずっとつながっています。レースが終わるとまた来年待っているぞ! と言ってくれます。翌年ニュルに来るとこれまで一緒に戦ってきた仲間と語り合うことができます。毎年どんどん仲間が増えて同窓会を行えています。こういう風にレースを楽しむことを、日本にいる仲間に伝えていきたいと思っています」
また自身が主催するモータースポーツクラブであるSTILLWAYというチームのメンバーにニュルの文化を伝えるとともに、ニュル観戦ツアーなども行い雰囲気を体験してもらっています。そしてメンバーがニュルに行きたいというときのための橋渡しの役目もしていきたいと言います。