公道で見かけたらラッキーな1台
発売当時からあまり人気がなかった車種はもちろん、当時はそれなりに見かけていたはずなのに、今ではすっかり街中ですれ違うことも少なくなってしまった……。今回はそんな絶滅危惧種の国産車を独断と偏見でピックアップしてみます。
マツダ MX-6
1992年1月に発売されたマツダのスペシャリティクーペである「MX-6」。今でも十分に美しいと思えるスタイルをまとったモデルで、当時デートカーとして人気を博していた日産「シルビア」やホンダ「プレリュード」の市場に食い込むべく投入された。
しかし、ライバル車よりも一回り大きなボディやV6エンジンのみのラインアップということもあって、もっとも安価なグレードでも220万円超と高値だった。バブル景気の崩壊なども相まって販売は低調に終わってしまった。
ただ日本国外ではMX-3(日本名ユーノス プレッソ)、MX-5(日本名ロードスター)と並んでMXシリーズの一員として一定の評価を得ており、車名の違いも販売に影響を与えた可能性もありそうだ。
日産 ブルーバード(9代目・U13型)
日産のミドルクラスセダンとして長きにわたってその座を守り続けてきたブルーバード。晩年はサブネームとして登場したシルフィへと車名を変更しながらも2021年まで販売が続けられていた。
そんなブルーバードの9代目モデルとなるU13型は、それまでの伝統に倣ってセダンとハードトップの両方を設定。ハードトップは新たに「ARX(アークス)」シリーズと名付けられ、伝統の「SSS」はセダンに設定される形となった。
このモデルでは先代とは打って変わって丸みを帯びたスタイルとなったが、これは北米のデザインスタジオが手掛けたもので日本ではやや不人気となっていた。それでも当時はある程度の販売台数を誇っていたのだが、現在では街中で見かける機会はほぼゼロとなってしまっている。
ホンダ キャパ
ホンダの「J・ムーバー」シリーズの第1弾として、コンパクトカーの「ロゴ」をベースとしたトールワゴンとして1998年4月にリリースされた「キャパ」。車名の由来でもあるキャパシティからも分かるようにスペース効率に優れたモデルとなっていた。
見た目は軽自動車の「ライフ」の普通車版といった印象だが、実はロゴのフロアパンの上にもう1枚フロアを重ね、その間にフレームとクロスメンバーを配してパッシブセーフティ性能の向上を狙っていた点は特筆すべきポイントだった。
またリアシート下部に燃料タンクを備えたことで、後席は一段高い位置となって見晴らしに貢献したほか、250mmものロングスライドで豊富なシートアレンジを持つなど使い勝手にも優れていた。カスタムパーツも多くリリースされるなどスマッシュヒットを記録したが、実用車だったこともあり現在ではほぼ見かけることはなくなった。
トヨタ カローラFX(3代目・AE100系)
5代目カローラ(1984年)をベースにハッチバックモデルとして初代モデルがリリースされたカローラFX。当時はFF2ボックス車のシビックが人気を博していたことから、その対抗馬として投入されたもの。名機4A-G型エンジンを搭載したグレードもしっかり用意されていた。
カローラFXはカローラのフルモデルチェンジに合わせて新型が登場していたが、最終型となったのは1992年5月に登場した3代目モデルで、カローラの登場から1年後に投入されている。ただこの最終型のカタログでも「少数決で、造ってしまったクルマです。」とあるように、すでにスポーツモデルとして長らく存在していたレビンとの差別化も難しくなっていたことはメーカー側でも感じていたようだ。
結局、それまで存在していた実用的な5ドアモデルや1.5L仕様も存在しなかった3代目カローラFXは販売面でも苦戦を強いられ、当時からなかなか見かけることのないモデルとなってしまった。