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たった197台のみの「GT-R」! ケンメリGT-Rが4カ月で販売打ち切りになった理由とは? 本当は排ガス対策は関係なかった!?【国産名車グラフィティ】

たった197台のみの「GT-R」! ケンメリGT-Rが4カ月で販売打ち切りになった理由とは? 本当は排ガス対策は関係なかった!?【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 増田貴広/小林 健/清水勇治/日産自動車

日常域からワインディングまで先代GT-Rより余裕をもって走れる

パワーユニットは、サーキットで鍛えられ、多くの栄光を手にしてきたレーシングエンジン直系のS20型直列6気筒DOHC 4バルブをC10型GT‒Rより継承している。多球形燃焼室や吸・排気4バルブ、7ベアリング支持のクランクシャフトなどを採用し、カム駆動はダブルローラーチェーンだ。ボア82.0mm、ストローク62.8mmで、総排気量は1989㏄。ステンレス製エキゾーストマニホールドやインテーク側エアダクトなどのデザインが先代のGT‒Rとは異なっている。

燃料供給はミクニ製のソレックス40PHHキャブレターで、6気筒だから3基装着した。チューニングのメニューは2種類だ。プレミアムガソリン仕様は、圧縮比を9.5と高く取り、最高出力は160ps/7000rpm、最大トルクは18.0kgm/5600rpmを発生する。

環境に配慮してブローバイガス還元装置やアイドルリミッターを組み込んでいるが、レギュラーガソリン仕様は圧縮比を9.0に下げ、オクタン価の低いガソリンに対応した。最高出力は155ps/7000rpmと、5ps低い。最大トルクも17.6kgm/5600rpmだ。

ちなみに燃料タンクは、先代のような100Lタンクではない。L20型エンジンを積む2000GTと同じ55Lタンクを積んでいた。これを見ても最初からモータースポーツ参戦を考えていなかったことがわかる。

トランスミッションは、ポルシェシンクロの5速MTだ。車重が1145kgまで増えていることもあり、ギヤ比は変更され、高回転をキープして走る楽しさはある。先代と比べるとクラッチなどの操作も軽く、扱いやすくなっている。

サスペンションの基本レイアウトは、2000GTと同じだ。フロントはマクファーソンストラットとコイルスプリング、リアはセミトレーリングアームにコイルスプリングの組み合わせとした。ただし、ダンパーとスプリングを強化され、リアにはスタビライザーも付く。LSDも装備され、コントローラブルだ。

2代目GT‒Rは日常での運転がしやすくなり、ロングドライブで疲れが軽減された。GT‒Rは初代のときも、少しステアリングを切り込んでからクルマの向きが変わる性格だ。アンダーステアはちょっと強めなのでステアリングを切り増していく必要はある。だが、2代目では回頭性と接地フィールがよくなったから安心してコーナーを攻められるようになった。4輪ディスクブレーキになったこともあり、ブレーキ性能が向上したのも大きな進化。高速域からの安心感がまるで違う。

スパルタンないで立ちではあるが快適パーツも装備

C110型スカイラインは、デザインの洗練度を大きく高めている。インテリアも例外ではなく、すっきりとまとまりのいいデザインになった。視認性や操作性も大きく改善されている。目の前に広がるのは水平基調のダッシュボードだ。ソフトパッドで上面を覆い、トリムなどの素材も質感を高めている。

2000GTはブラック基調の仕立てだが、メーターパネルをウッド調として落ち着いた雰囲気にまとめた。スピードメーターとタコメーターを中心に置き、時計を含めた4つの丸形メーターを左に、右に電圧計の計7個のメーターを並べている。

ステアリングは黒の本革巻きタイプで、3本スポークだ。送風吹き出し口下のセンターコンソールも大型化され、車格感が上がっている。

GT‒Rも2000GTに準じたダッシュボードだが、レーシーな雰囲気を強めている。7つ並んだメーターパネルを、ウッド調からアルミパネルに変更し、タコメーターはフルスケール1万回転となった。また、左端の時計は省かれ、樹脂のフタで覆っている。もちろん、ヒーターやラジオはオプション設定だ。

GT‒Rらしいと感じるのは、ステアリングのホーンボタンとシフトノブは、赤の地色としている点。また、サンバイザーも運転席側だけしか装備されない。フロントシートは先代と同じように、リクライニング機構のないヘッドレスト付きのバケットシートで、新たに助手席にもヘッドレストが装備された。シートベルトは取り外しできる3点式だ。

GT‒Rは速く走るために快適装備には目をつぶり、軽量化を徹底している。だが、2代目GT‒Rは初代よりはるかに快適で、小物入れなどの実用装備も増やされた。リアシートも2000GTと同様のビニールレザーで、しっかりした造りである。大人が座っても足元、頭上ともに不満のないスペースだ。

C110型GT‒Rは、ファンの期待を一身に集めて登場した。初代からの乗り換えを検討しているオーナーも多かったはずである。だが、終焉は唐突に訪れた。発売からわずか4カ月で販売打ち切りを発表されたのである。その理由は、当時は排ガス対策が不可能と言われたが、実際はS20型エンジンの在庫が底をついたから打ち切ったようだ。

そのため幻のGT‒Rと言われ、現在は中古車価格が高騰している。197台と言われる生産台数の真偽を問う声もファンやオーナーから飛び出した。それだけGT‒Rの衝撃は大きかったのである。その後、何度もGT‒Rの復活がささやかれた。やはり希代の名役者だったのだ。

スカイライン2000GT-R(KPGC110)
・年式:1973年
・全長×全幅×全高:4460mm×1695mm×1380mm
・ホイールベース:2610mm
・車両重量:1145kg
・エンジン:S20型直列6気筒DOHC 4バルブ
・総排気量:1989cc
・最高出力:160ps/7000rpm
・最大トルク:18.0kgm/5600rpm
・変速機:5速MT
・サスペンション(F/R)ストラット・コイル/セミトレーリングアーム・コイル
・ブレーキ(F/R)ディスク/ディスク
・タイヤ:175HR14

■「国産名車グラフィティ」記事一覧はこちら

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