新しいことに挑戦し続ける勢いのあるチーム
日本を代表するGTレースとして、海外でも人気の高い「SUPER GT(以下、スーパーGT)」。GT300クラスは国内外のメーカーがしのぎを削っている。世界的に人気のFIA GT3車両をはじめ、JAF-GT、マザーシャシーと3タイプのマシンが混走し、毎戦で激しい戦いが繰り広げられている。今シーズンを戦う27台のなかから、今回は9号車PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMGで戦う「PACIFIC RACING TEAM」を紹介しよう。
ベテランとルーキーの組み合わせで勝利を狙う
2000年に設立されたパシフィックプロモーションを前身に持ち、2001年にシルクロードソーラーカー横断をプロデュース。さらに2003年の北海道ソーラーカーレース、2006年のイタリアソーラーカー横断をプロデュースしてきた。
2009年にPACIFIC RACING TEAMを設立し、LMP MOTORSPORTとの提携で2010年よりGT300クラスへの参戦を開始。2011年の第3戦・マレーシアで山岸 大/山内英輝がフェラーリF430を武器に3位に入賞、参戦からわずか2年目で初の表彰台を獲得した。
その後はドライバーやマシンなど体制を変更するものの、苦戦の展開が続く。久しぶりに上位争いに食い込んだのは2017年。ポルシェ911GT3Rを駆るジョノ・レスター/峰尾恭輔が開幕戦の岡山で3位に入賞し、6年ぶりに表彰台へ登った。
2021年からはCARGUY Racingとのジョイントプログラムでフェラーリ488GT3を投入し、第3戦の鈴鹿でケイ・コッツォリーノ/横溝直輝が4位に入賞したほか、2022年もコッツォリーノ/横溝が開幕戦の岡山で4位入賞したことは記憶に新しい。
まさにPACIFIC RACING TEAMは新興チームとして既成概念にとらわれることなく、絶えずドライバーやマシンなどチーム体制を一新。新しいチャレンジを重ねてながら着実にスキルアップを重ねてきているが、そのフロンティアスピリッツは2023年も健在で、ドライバー、マシンを含めてチーム体制を一新している。
まず、エースドライバーに経験豊富なベテランの坂口良平を起用したほか、セカンドドライバーには中国人ドライバーのルーキー、リアン・ジャトンを抜擢。マシンはさまざまなカテゴリーで活躍するメルセデスAMG GT3にスイッチするなど、全てがブランニューの体制となっている。
それゆえに序盤の3戦で目立った成績を残せていないが、伸びしろは多く、マシンのセッティングが進み、ジャトンがGT300のレース展開に慣れてくれば上位争いに食い込んでくる可能性は高い。それだけに、今後もPACIFIC RACING TEAMの9号車に注目したい。