現状におけるシリーズ最上級版は、「M」の称号を与えられたバッテリーEV
新型5シリーズのパワーユニットとしては、まずICE(内燃機関)が2種類。2L直4ガソリンターボエンジン+48Vマイルドハイブリッドの「523i」と、2L直4ディーゼルターボエンジン+48Vマイルドハイブリッドの「523d」が設定される。
また一部のマーケットでは、6気筒ガソリン+マイルドハイブリッド版も遠からず設定されるとのことだが、もっとも注目すべきは新型7シリーズの「i7」に次いで、そして5シリーズとしては初となる純バッテリーEVモデル「i5 eDrive40」および「i5 M60 xDrive」が用意されたことと言えるだろう。
今回、国内正式デビューに先立って取材することができたのは、後者にあたるi5 M60 xDrive。現状における新型5シリーズの最上級・最高性能モデルでもある。そして「M」の名を冠するに相応しく、ツインモーター方式の電動4WDシステムを搭載したハイパフォーマンスカーで、前後で2基のモーターの総出力は601ps、最大トルクは820Nmに到達するという。
その結果、0-100km/h加速タイムはスーパーカー級ともいえる3.8秒を計上するかたわら、最高速度はリミッターによって230km/hに自主制限しているとのことである。
ちなみに、もういっぽうのEVであるi5 eDrive40は、最高出力340ps、最大トルク430Nmのモーターをリアアクスル側に置いた後輪駆動モデルで、0-100km/h加速は6秒フラット、最高速は193km/hとうたわれている。
両モデルともに、フロア下に搭載されるバッテリーの容量は81.2kWhで、WLTCモードにおける一充電走行距離は、このi5 M60 xDriveが455~516km。i5 eDrive40が497~582kmとされている。また最大で205kWの超急速充電に対応しており、約30分でバッテリー残量10%から80%までチャージすることができるという。
先んじて発売された「i7」では、メルセデス「EQS」シリーズを上回るのではないか……? とも思わせる洗練度で世界を驚嘆させたいっぽう、現行G26系「4シリーズ・グランクーペ」をベースとするEVモデル「i4」では、爽快感のある走りを実現。BEVでもその本質を追求しようとするBMWが、その保守本流たる5シリーズではどのような仕上がりを見せるのか。このあとのテストドライブが、とても待ち遠しい1台である。
5シリーズの通常生産モデルは798万円からスタート
なお、2023年5月から予約が始まっていた「ザ・ファースト・エディション」のメーカー希望小売価格(消費税込・諸経費別、以下同)は「523i」で934万円、「i5 eDrive40」で1098万円とされている。
また、7月13日から正式発売となった通常生産モデルでは、ICEガソリン版の「523i Exclusive」が798万円、「523i M Sport」が868万円。ICEディーゼルターボの「523d xDrive M Sport」が918万円とのことである。
いっぽうBEV版では「i5 eDrive40 Excellence」が998万円。「i5 eDrive40 M Sport」も同額の998万円。そして、新型5シリーズの最上級モデルとなった「i5 M60 xDrive」は1548万円に設定されたことが、あわせて公表されている。