スペシャルティカーのラムダはさらに大きく話題を集めた
ところでもう1台、シグマとともに同じギリシャ文字の車名が与えられて登場したのが「ギャランΛ(ラムダ)」だった。こちらはシグマをベースに仕立てられた2ドアスペシャルティカーで、シグマの登場から7カ月の時間差をあけて1976年12月に登場した。
このギャラン ラムダは、セダンのギャラン シグマとはコンポーネントを共用した、いわばシグマの2ドアクーペ(ハードトップ)版の位置付けにあった。けれど何といっても、思いきった斬新な外観・内装デザインがシグマ以上に話題を集めた。
外観上のポイントは国産車では初めて角型4灯ヘッドライトを採用し、薄くシャープなフロントデザインとしたほか、「ロールバールーフ/リヤピラー」と名付けられたクオーターピラーまわりは独特で、ルーフの段差部分にはスチールの補強材が組み込まれた構造だった。またサイドまで大きく回り込んだリアウインドウ(たしか当時の旭硝子製だったはず)も特徴だったが、これは「今迄のスポーティ車の欠点とされていた後方視界の悪さと窓面積の小さいことによる後席のうっとうしさをも解決」したもの(カタログより)でもあった。
ラムダはインテリアにもこだわり満載だった
インテリアでは1本スポークのステアリングホイールが話題に。当時の自動車雑誌各誌はどこも例外なく「シトロエンのような」と紹介していたが、筆者もディーラーの実車で12時の位置を片手で握り恐々とだったが前後に揺さぶってみて、「ふうん、問題ないか」と自分で確かめたりしたもの。
インテリアではカラーと素材のコーディネートにもこだわっていて、インテリア色はグレー、ベージュ、レッドの3色、シート表皮は全面起毛ニット、起毛ニット、チェックファブリックの3パターンの設定といった具合。さらにインパネ、(計器盤パッド)、ドアトリム、ステアリングホイール、天井、カーペット、シートベルトに至るまで各々がさり気なく同系色でまとめられたセンスも注目だった。装備ではほかに車外に取り外し可能な木製エンクロージャー採用のオーディオなども。
搭載エンジンは当初は2Lで、追って1.6Lや、当時の「セリカXX」、「フェアレディ280Z」を意識した2.6Lも設定。セダンのシグマ、スペシャルティカーのラムダ、ともに三菱だけでなく国産車の世界に新風を吹き込んだクルマだった。