アスリート系ラリードライバー続々登場!
2023年3月に活動をスタートさせたばかりの「MUSCLE RALLY(マッスルラリー)」チームが、早くも2人目のラリードライバーを投入した。1998年長野オリンピックで金メダルを獲得した元スピードスケート選手であった清水宏保選手に続く2人目のラリードライバーは、フィギュアスケーター/フィギュアスケートデモンストレーターである小塚崇彦選手(トヨタ自動車 スポーツ強化・地域貢献室 所属)である。
小塚崇彦選手もラリチャレにデビュー
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ(ラリチャレ)開幕戦となる三好戦(徳島県/3月25日~26日)からラリー活動を開始している、ラリーチームの「MUSCLE RALLY(マッスルラリー)」。同チームから新たな選手がラリーデビューを果たした。
それが元フィギュアスケーターとして活躍した小塚崇彦選手である。小塚選手がラリーデビューするのは、「TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ2023 渋川伊香保戦」。初心者向けのワンデイ・ラリーイベントとして、人気を集めているラリチャレの中でも、とくに人気の高いイベントである。2023年もラリチャレの第5戦として7月1日〜2日に開催された。
「マッスルラリー」チームではスピードスケート金メダリストの清水宏保選手を擁して全日本ラリーにも参戦している。その清水選手のメインのコ・ドライバーを担当してきた保井隆宏選手が今回の小塚選手のラリーデビューをサポートする。保井選手は2006年から全日本ラリー選手権に参戦してきている超ベテラン である。
参戦車両は、2022年からマッスルラリー・チームが使用しているトヨタ「サクシード」。「#143 エムリットサクシード」は、一見すると営業車にも見え、このギャップもたまらない。参戦するのはE-3クラス(気筒容積1500cc以下のトヨタ車および気筒容積660cc以下のトヨタ/ダイハツ軽自動車)となる。
「次につながるいい勉強になった」
今回の渋川伊香保戦では、1日に3つのSS(公道を封鎖してタイムアタックをする区間のこと。スペシャルステージの略を取ってエスエスと呼ぶ)を午前と午後の2回走行する6本が設定されている。前日にコースを試走するレッキが行われたが、路面状況はウエットで、当日は朝から好天に恵まれたため路面状況も変わった中でのラリーとなった。
小塚選手もこれまでにトヨタ86ワンメイクレースなどへの出場もあり、全くスピード競技の素人というわけでもない。サーキット走行で経験した重心移動などのことを思い出しながらのアタックだった。最初のSSとなった「SS1東吾妻」では「引きすぎてしまった」と、もう少しスピードが乗せられるはずのポイントで、今ひとつアクセルを開けきることができなかった。ナビの保井選手もここについては「もっと踏んでいけた」と語る。
「SS2北榛名」では砂やコケのある路面だったこともあり、路面のグリップが抜けていく感覚を味わいながら「これがラリーなんだ」というヌルヌル路面と格闘しながらのアタックとなった。「SS3渋川スカイランドパーク」では、直前に車両が3台も止まっていたこともあって、やはりアタックは慎重になってしまっていた。
小塚選手は思っていた以上にもっといけるという思いもあり、昼食を取りながら午後のループへ向けて気合いを入れなおす。そして迎えた「SS4東吾妻2」で「フローが出てきた」と少し調子を上げてきた。続く「SS5北榛名2」で「欲を出しすぎてしまった」と本人が語る通り、欲張った分突っ込みすぎたりしているところも出てきたという。1日を通して「次につながるいい勉強になった」と語った。
「前日のレッキではペースノートづくりなど、飲み込みも早い」と評価も上々だったが、ナビシートから小塚選手の走りを見た保井選手は、その評価を95点と語る。最初から100点ではないということで、何かしらマイナスがあったわけではない。
保井選手はさらに次のようにコメント。
「初めてとしてはとてもいいラリーだったと思う。悪いところはなかった。もっとできたところはある、という意味で100点にはしなかったけどね。今回の目標は完走すること、そしてラリーという競技を学ぶことにあったのだからそれはきちんとクリアできた。午後の2ループ目はすべてのSSでタイムアップした。欲を出しすぎたところもあったが、そういったところすべてを通して、いろいろ学ぶことができたんじゃないかな?」
ラリードライバー小塚崇彦選手の2戦目は、同じくTGRラリチャレの第8戦「びわ湖 高島」になる。9月23日~24日に滋賀県箱館山を中心に開催される。