今も復活を待ち望むファンが多い
長い時間をかけてブランドとキャラクターを確立して親しまれてきたのに、今ではその名前で新車が売られていない名車たち……。そんなできれば車名だけでも残してほしかった名車たちを振り返る本企画の第二弾はホンダ・マツダ・三菱車編を紹介していこう。
ホンダSシリーズ
ホンダのSシリーズは、パワフルなDOHCエンジンを積んだ後輪駆動の系譜。ルーツは1963年10月発表のS500(531cc 44ps)。生産台数はおよそ500台、たった5カ月で終了となった。翌1964年3月にS600にモデルチェンジ(DOHC 606cc+4連キャブレター 57ps)している。
翌年にはクーペも追加され、1966年1月にはS800(791cc 70ps)が発表。童夢の創業者 林みのるがチューニングし、伝説のドライバー浮谷東次郞がドライブした「カラス」はS600がベースだった。S800は1970年に生産終了となるが、その後、1998年に本田技研工業創立50周年記念モデルとして、S2000が発表される。
9000回転まで回るF20Cエンジンは、2リッターNAながら250psを発生。ホンダとしては29年ぶりのFR車となったが、2009年に再び消滅……。そして、2015年にビート以来、約19年ぶりの軽自動車のミッドシップ2シーターオープンスポーツカーとしてS660がデビュー。
S660はターボエンジンで、新車価格が200万円と軽自動車としては高価だったが、2022年3月をもって生産を終了すると発表すると注文が殺到した。650台が追加生産されることになったが、2022年4月末で販売終了。FRもしくはミッドシップのホンダスポーツ「S」シリーズは、ぜひとも復活してほしい一台だ。
ホンダCR-X
CR-Xは、シビックの兄弟車(正確にはバラードの派生車種)のFFライトウェイトスポーツとして1983年に登場したモデル。初代と2代目はショートホイールベースの2+2レイアウトで、クイックなハンドリングが持ち味だった。エンジンも初代の前期は1.5LのEW型エンジンだったが、1984年にはDOHC1.6リッターのZCエンジンを投入。
2代目はVTECエンジンのB16Aが追加され、足まわりも前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションに進化し、運動性能に磨きをかけた。
それに対し、3代目のデルソル(1992~)は大きく路線変更し、電動ルーフ「トランストップ」を用意したソフトなクルマに……。ファンをガッカリさせて1999年に姿を消した。ホンダには、今でもFF最速を誇るシビックタイプRがあるが、あそこまで大きなクルマではなく、CR-Xのような「FFライトウェイトスポーツ」が欲しいと思っているクルマ好きは多いはず。名前だけでなく、コンセプトも一緒に復活してほしい一台だ。