定番の軽量ホイールを刷新
大阪にヘッドオフィスを構える「RAYS(レイズ)」は、モータースポーツに参戦しているレーシングマシン用ホイールの開発や、そこで得たノウハウを元とした市販車用のアフターホイール開発でも有名だ。そのレイズが、「VOLK RACING(ボルクレーシング)」ブランドの最新作「CE28N-plus」を2023年7月5日に発表した。
フルモデルチェンジに等しい「CE28N-plus」
最新作「CE28N-plus」の発表会場に選ばれたのは、富士スピードウェイ。新作ホイールの発表の場としては、異例と言っていいだろう。しかし、レイズのテクノロジーがレースからのフィードバックであることを伝えるには、絶好のステージであることは間違いない。また、国際格式のサーキットで、しかもハイアットが運営する富士スピードウェイホテルの開業など、リニューアルに伴う進化と話題に事欠かない富士スピードウェイを選んだということに、レイズという企業の時代を読むセンスも感じられる。
さっそく、「CE28N-plus」の解説からはじめよう。
まず、ボルクレーシングというブランドは、レイズのなかでもスポーツに特化したアイテムに与えられており、レイズの中核を担うものとなっている。ハイパワー車をターゲットとした「TE37シリーズ」や、高いリム剛性を誇る「NE24」、トータルバランスに優れた「ZE40」といったラインアップのなか、CE28Nはライトウエイトスポーツをターゲットとした、軽さに特化したホイールとして、これまでも高い人気を誇っていた。
CE28Nのデビューは、1999年。当時の最先端解析技術と製造技術を駆使することで、14×5.0J 44というサイズにおいて、現在でも十分に軽い重量、1本あたり2.8kgという軽さを実現した。この2.8kgこそが、CE28Nというネーミングの由来である。
しかしそれから20年以上が経過したいま、クルマのハイパワー化は進み、また安全装備の充実などによって、車重も増加している。当然、現代のクルマに装着するスポーツホイールに求められる要件も変わってきている。
そのことから、現代のCE28Nとして開発されたのが、このCE28N-plusなのだ。見た目はたしかにCE28Nと何ら変わらないように見える。しかしその中身は、フルモデルチェンジといっていい、大きな進化が遂げられていた。そのおもなポイントを見ていこう。
最新技術で生まれ変わったCE28N
まずはウェル部のウェーブ形状。ウェル部とは、リムのスポーク間にあたる部分のことを指す。この部分をウェーブ形状とすることで厚みを確保し、強度や剛性を稼いでいる。
また、センターパッケージ部のスポーク基部は、ティアドロップデザインを深くすることで軽量化を実現。ハブ部は軽量化のためのダミーホールを無くしているため、そこでの重量は増えているが、そのかわりハブ部の剛性は高くなっていて、スポークとリムの結合部が強化されたことや、スポーク縦断面積の増加、リム形状の変更による強度アップと合わせて、ステアリングを切り込んだときの剛性アップを実現している。
これまでのCE28Nにはなかった、ハードブレーキング時などでのタイヤのズレを防ぐ、ローレット加工が施されているのもポイントといっていいだろう。
もちろん、軽さというCE28Nの特長にかわりはない。同サイズのTE37SAGA S-plusと比べたときの重量は、CE28N-plusのほうが500g軽い。その強さと軽さを両立できたのは、初代モデルのデビューから進化を続けてきた解析技術と、製造技術のおかげである。
今回のデビューにあたって用意されたサイズは、18インチの7.5Jから11.0Jまでとなっているが、レイズ企画部チーフの渡邉将伍さんに確認したところ、すでに17インチサイズの開発は予定されているとのこと。さらに、輸入車オーナーや海外市場からの問い合わせも多いということから、19インチサイズの開発を検討していく必要があるかもしれない、とのことだった。こちらも市販化が待ち遠しい情報である。
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このように、一見すると20年前のCE28Nとほぼおなじに見えるCE28N-plus。それは、コース改修が施され、日本グランプリや富士グランチャンピオンレースのころはもとより、2000年以前の富士スピードウェイとはまったく異なるサーキットへと進化した富士スピードウェイに似ている。しかも現在でも施設や周辺道路の整備が進められ、富士スピードウェイは進化し続けている。まさしく、つねに歩みを止めないCE28N-plusの姿に重なるところもある。きっとレイズが発表の場を富士スピードウェイに選んだのは、われわれプレスにこうしたことを伝えたかったのではないだろうか。
今回の発表会では、山野哲也選手と井入宏之選手がそれぞれ、同サイズ同ブランドのタイヤをセットしたTE37 SAGA S-plusとCE28N-plusを履き替えて比較試乗もおこなった。加えて、編集スタッフも同乗試乗や、単独試乗する機会も設けられた。この模様は、後日詳しくリポートするのでお楽しみに。