ロータリー搭載車だけに与えられた専用の内外装アイテム群
エクステリアは、ベースとなった2代目ファミリアに準じたスタイリングだ。だが、ブラックアウトしたハニカムグリルに変更し、誇らしげにおむすび形のロータリーマークが付く。リアコンビネーションランプも丸形2連の専用デザインだった。
サスペンションはフロントがストラット式、リアはリーフスプリングによるリジッドアクスルだ。安定性を高めるためにアンチロールバーを装備する。多くの補強を行ったが、REパワーを持て余す場面があり、ドライバーを悩ませた。ブレーキはフロントがディスクブレーキ、リアはリーディングトレーリングだ。
インテリアは、ベース車のファミリアと大きく異なる。最大の特徴は、コスモスポーツの流れを汲むT型ダッシュボードの採用である。全面をソフトパッドで覆い、ブラックアウトしてスポーティ感覚を巧みに演出した。センターコンソールには3つの丸形メーターを並べ、最下段に4速MTの短いシフトレバーを組み込んでいる。ちなみに0-400mは16.4秒で走り切った。
フロントシートはコスモスポーツと同じように千鳥格子のチェック柄で、ヘッドレストも装備されている。シートベルトも標準装備だった。リアシートは3人がけだが、足元、頭上ともに余裕があり、実用的だ。
70万円というリーズナブルな価格で売り出したファミリア ロータリークーペは、クリーンヒットを放った。そして、1969年7月には羊の皮を被った狼的なスポーツセダンを投入する。4ドアの「ロータリーSS」だ。スペックは魅力的だったが、インパネは「ファミリア1200クーペ」に準じたシンプルなものだったから、残念に思うファンも多かった。そこでT型ダッシュボードを備えた上級の「ロータリーTSS」を追加している。
1970年代になるとファミリアにプレストのサブネームが加わり、1973年夏まで販売が続けられた。夢のREを身近な存在にし、走りの愉しさを教えてくれたのがファミリア ロータリークーペとロータリーSSだ。
ファミリアロータリークーペ(M10A)
・年式:1968
・全長×全幅×全高:3830mm×1480mm×1345mm
・ホイールベース:2260mm
・車両重量:805kg
・エンジン:10A型 2ローター
・総排気量:491cc×2ローター
・最高出力:100ps/7000rpm
・最大トルク:13.5kgm/3500rpm
・変速機:4速MT
・サスペンション(F/R)ストラット・コイル/リーフリジッド
・ブレーキ(F/R)ディスク/リーディングトレーリング
・タイヤ:6.15-13-4PR
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