GT500への参戦経験もある名門チーム
日本を代表するGTレースとして、海外でも人気の高い「SUPER GT(以下、スーパーGT)」。GT300クラスは国内外のメーカーがしのぎを削っている。世界的に人気のFIA GT3車両をはじめ、JAF-GT、マザーシャシーと3タイプのマシンが混走し、毎戦で激しい戦いが繰り広げられている。今シーズンを戦う27台のなかから、今回は25号車HOPPY Schatz GR Supra GTで戦う「HOPPY team TSUCHIYA」を紹介しよう。
ノウハウを注ぎ込むGRスープラの熟成も進む
1971年に土屋春雄が創業した「土屋エンジニアリング」を前身に持ち、富士フレッシュマンを筆頭にさまざまなカテゴリーで活躍。1994年に全日本ツーリングカー選手権に参戦したほか、1996年には全日本GT選手権への参戦を開始し、1997年の第3戦・仙台ハイランドで土屋武士/長嶋正興がMR2を武器に初優勝を飾った。その勢いは1998年も健在で、鈴木恵一/舘 信吾が計5勝をマークして2冠を達成。アペックスとジョイントした1999年には新田守男が2冠を達成するなど、GT300クラスの名門として定着した。
2000年からはGT500クラスへの参戦を開始。しばらく苦戦を強いられたものの、スーパーGT初年度となる2005年には開幕戦の岡山で織戸 学/ドミニク・シュワガーが躍進し、トヨタ・スープラを駆りGT500クラスでの初優勝を獲得した。
このように1996年のデビュー以来、全日本GT選手権/スーパーGTで活躍してきた土屋エンジニアリングだが、2009年よりレース活動を休止。代わって2010年に土屋武士が「SAMURAI Team TSUTCHIYA」を組織し、ポルシェ911GT3RでGT300クラスへの参戦を開始した。2012年の第2戦・富士で都筑晶裕/土屋武士が3位に入賞している。
さらに2015年には土屋武士が「つちやエンジニアリング」を立ち上げ、Team TUCHIYAとしてGT300に再チャレンジ。第6戦のSUGOで土屋武士/松井孝允がトヨタ86MCをドライブし、新生チームとして嬉しい初優勝を飾った。
2016年もTeam TUCHIYAの勢いは衰えず、計2勝をマークした土屋/松井が2冠を達成した。その後も2017年に松井/山下健太が第3戦のオートポリスを制するなど最前線で活躍。ここ数年は勝利から遠ざかっているものの、2023年は名門復活が期待されている。
まず、ドライバーラインナップが菅波冬悟/野中誠太と経験とスピードを併せ持つコンビに変更されたほか、自社開発のGRスープラも参戦2年目を迎えたことで着実に進化。序盤の3戦は目立ったリザルトを残せていないが、チャンピオン経験のある実力あるチームだけに、中盤戦以降はTeam TSUCHIYAの25号車が上位争いを左右するに違いない。