最終的には10位でフィニッシュ
アメリカでもっとも人気のあるモータースポーツといえば、「NASCAR(ナスカー)」である。その3大トップカテゴリーは「カップ」、「Xfinity(エクスフィニティ)」、「CRAFTSMAN Truck(トラック)」となるが、トラックシリーズに長年参戦している服部茂章氏は、ナスカー界で唯一の日本人オーナーとして「Hattori Racing Enterprises(HRE)」を率いている。このHREは今2023年シーズン、チーム在籍2年目となる若手ドライバー、テイラー・アンクラム選手を継続起用し、トヨタ「タンドラ」でこのトラックシリーズに参戦中だ。
ミッドオハイオをWヘッダーで走るアンクラム選手
そのHREの16号車は今シーズン初めて、カラーリングを変更し、ユニオン・レイバー・ライフ・カンパニーの「ウリコ」カラーで登場した。16号車のシーズンを通してのメインスポンサーである「LiUNA!(北部労働者国際労働組合)」ともパートナーの関係にあるウリコは、1927年に創業し、労働組合とその組合員に経済的保障を提供してきている企業である。
NASCARクラフトマン・トラック・シリーズはプレイオフ進出まであと残り3レースとなっており、アンクラム選手は現在チャンピオンシップランキングで15位に位置している。そして、NASCARトラックシリーズは、レキシントン州オハイオにあるミッドオハイオ・スポーツカー・コース(MOSCC)で、第14戦「O’Reilly Auto Parts 150」が7月8日(土)に開催された。MOSCCのコースは67周(151マイル)で争われる。
また、この週末アンクラム選手はトラックシリーズだけでなく、同時に開催されるARCAメナーズ・シリーズの「Zinsser Smart Coat 150」にも「#61 LiUNAトヨタカムリ」で出場することになっていた。7日(金)の夕方にはカムリで出走し、8日(土)午後には「#16 ウリコ・トヨタ・タンドラTRDプロ」でレースを行った。
アンクラム選手にとって、ここ数年で初めてとなったWヘッダーのレースだが、トラックシリーズのロードコース戦ではピットストップ作戦が有意義に働かないことから、2日続けてのレースで、アンクラム選手がこのサーキットをよく知ることは有益になると考えられた。
第2ステージでは7番手まで順位を上げることに成功
#61 LiUNA!トヨタカムリで2番手タイムを出したアンクラム選手はフロントロウ・アウト側からスタート。一時大きく順位を落とす場面も見られたが、最終的にトップを快走し、ARCAメナーズ・シリーズで自身初勝利を飾るという幸先の良い週末がスタートした。
そして迎えた土曜日は、雷雨のためスタート時間が遅れ、ウエットコンディションからのレースとなった。7列目イン側の13番手からスタートしたHREの16号車は、一気に4位まで順位を上げたものの、ターン13でコースアウトを喫し、最後尾へと順位を大きく下げてしまう。
その後雨が去り路面が徐々に乾いていく中、第1ステージを20位で終えた16号車は、このステージブレイクで4本ともにスリックタイヤに交換。そして迎えた第2ステージでは7番手まで順位を上げることに成功しステージポイントを獲得する。最終ステージはトップ5内での走行を続けたが、12回ものイエローコーションが出され、残り周回数4周を残したイエローコーション後のリスタートで勝負をかけたものの、リスタート直後に他車との接触がありコースから押し出されたことで最終的には10位でフィニッシュした。
トラックシリーズ次戦は、7月22日(土)にペンシルベニア州ロングポンドにあるポコノ・レースウェイで開催される。ARCAメナードシリーズとナスカーの3大シリーズを開催するこの週末は、21日(金)にトラックシリーズの練習走行が午後1時35分から、そして予選が午後2時5分から開催される。決勝レース「CRC Brakleen 150(60周/150マイル)」は22日(土)の午後0時にスタートする。